ブルーレイで3次元映像を家庭へ、普及団体で議論が始まる

 ブルーレイディスク(Blu-ray Disc)の普及推進団体である「Blu-ray Disc Association(BDA)」が、3次元立体映像への対応に向けた取り組みを強化している。ハリウッドでは3次元立体映像を取り入れた映画が増えており、それを家庭用ビデオ・ソフト市場に売り込むことを狙う映画会社からの強い要請を受けたものである。

BDAのマーケティング・グループでチェアマンを務めるAndy Parsons氏は、「家庭用の3次元立体映像向け技術については現在、議論を進めており、公式声明をまとめているところだ」と述べている。

テレビ放送を利用して3次元立体映像を配信するための標準規格の策定を目指して、2008年に入ってから少なくとも4つの業界団体が立ち上げられた。米映画テレビジョン技術者協会(SMPTE:Society of Motion Picture and Television Engineers)は2008年8月19日に、3次元映像コンテンツのマスタリング方式に関する標準規格について検討するタスク・フォースの設置に向けて会議を開催した。全米家電協会(CEA:Consumer Electronics Association)も、テレビやセットトップ・ボックス、ディスク・プレーヤなどを対象とした標準規格を策定すべきかどうかを決定する会議を2008年10月に予定している。

2007年以降、ハリウッドの映画会社が発表した3次元立体映画は、製作中の作品を含めると80タイトルにも上る。米Dreamworks Animation社の共同創設者であるJeffrey Katzenberg氏は2008年8月20日、米Intel社が主催する開発者向け会議「Intel Developer Forum(IDF)」で、「2009年以降、当社のアニメーション映画はすべて3次元立体映像で製作する。これは、かつてのトーキー映画やカラー映画の登場に匹敵する、重大な転換になるだろう」と表明した。

BDAのParsons氏によれば、「(3次元立体映像のレンダリングは)大きく分けて2つの方法があり、BDAはそのどちらかを採用することになる」という。1つは、プレーヤからはディスク媒体に記録された3次元映像のデータをそのままHDMIポート経由で出力し、テレビ側でレンダリングする方法。もう1つは、プレーヤ側で3次元映像のデータをレンダリングする方法である。後者の場合は、ブルーレイディスクの仕様を大幅に拡張しなければならない。

後者の方法を採用した場合、BDAは新たな標準フォーマットを定義する必要がある。BDAとしては、いずれの手法を採用する場合でも、「2次元映像コンテンツに向けた既存仕様と3次元映像に対応する仕様の間で、互換性を維持する必要があると考えている」(Parsons氏)という。

家庭で3次元立体映像コンテンツを楽しむようになるとすれば、当初はブルーレイディスクがそのコンテンツの媒体になるとする向きは多い。3次元立体映像は通常、視聴者の左右の目に別々の画像を映し出すため、2次元映像に比べてはるかに広い帯域幅が必要となり、放送によって配信することは難しいと考えられているからだ。

ある大手民生機器メーカーの幹部は、氏名を明かさないという条件で、次のように述べた。「家庭用3次元立体映像を最初に実現するのは、ブルーレイディスクになるだろう。その実現にはフォーマットの標準化が必要だ。すべてが順調に進めば、2010年か2011年には実現できる可能性がある。しかし、それは現実にはありえない。標準フォーマットをめぐる争いが勃発しなければ良いのだが」。

ブルーレイディスクに対応したプレーヤとビデオ・ソフトの市場は、ここにきて急拡大している。2008年初頭に、ライバル規格であるHD-DVDを主導していた東芝が同事業からの撤退を発表し、新世代DVDがブルーレイディスクに一本化されたからである(参考記事「次世代DVD規格争いの先にあるもの、本当の勝者は依然として霧の中」)。米国ではこれまでに約600万台のブルーレイディスク・プレーヤが出荷されている。ただしそのほとんどは、ブルーレイディスク再生機能を備えたソニーのゲーム機「PLAYSTATION 3」である。

BDAのParsons氏によれば、ブルーレイディスクのビデオ・ソフトは現在、約900タイトルに達しており、これは6カ月前の2倍以上だという。

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