500Gバイトの光ディスクを開発、2種類のスペーサ層で20層構造を実現

図1 パイオニアが開発した記録容量500 Gバイトの光ディスク
記録層に反射率の低いNb2O5を用いたため、ディスクの透明度が高い。

図2 ディスクの層構造と読み取り時の光路
最も深い層0から読み出しているところ。厚さの異なる2つのスペーサ層(10μm、14μm)を交互に配置した。斜め方向から読み出す手法と合わせることで、例えば層1からの反射光を読み出し光から除去できている。図ではピット構造などを省略した。


パイオニアは、12cm径で20層から成る記録容量500Gバイトの光ディスク技術を開発した(図1*1)。1層分の容量はBlu-ray Discと同じ25Gバイト。20層構造を採ることで500Gバイトとした。2008年7月に米国ハワイ島で開催された光ディスク関係の学会「ISOM/ODS 2008」で発表した。

多層化は光ディスクの大容量化技術として一般的である。ただし、全容量を1層分の容量×層数とすることは難しい。下層からの読み出し信号が減衰するためだ。例えば、片面2層のDVD-ROMの場合、全容量は8.54Gバイトとなり、下位層は上位層(4.7Gバイト)の82%の容量に抑えられている。

今回の開発した技術ではすべての層の容量を同等に保つため、3点の改良を加えた。(1)記録層に金属膜ではなく、反射率が3~4%と低く光を透過しやすいNb2O5(酸化ニオブ)膜を用いたこと、(2)記録面に対して垂直ではなく、わずかに角度を付けて読み出すこと、(3)記録層間に置くスペーサ層の厚さをすべて同等にするのではなく、2種類の厚さの層を交互に配置したこと、である。

(1)により、光源から最下層に達して戻る光信号の強度を大きくできた。

(2)と(3)は組み合わせて利用する。読み取りたい層とは異なる層での反射光によるクロストークを減らすための工夫だ(図2)。まず、2種類の厚さのスペーサ層を交互に配置することで、スペーサ層の厚さが単一の場合に比べて層間クロストークを1/2に抑えられる。3種類以上を用意することで、さらに低減できるが製造コストが上昇すること、2種類で十分な性能を達成できたため2層とした。

スペーサ層の最適値には制限がある。層間クロストークを小さくするには厚く、読み出し時の球面収差を抑えるためには薄くする必要がある。層間クロストークはスペーサ厚が10μmを下回ると急速に増加する。10μmの場合約8%だが、8μmでは10%を上回る。一方、12μmの場合は約7%である。そこで、1つの層を10μmとした。

もう一方のスペーサ層の厚みを変えることで、読み取り時のジッターの原因となる成分の値を操作できる。中でも複数の層からの反射によるクロストーク成分が重要だ。この成分は10層よりも深い部分になると急速に値が大きくなる。スペーサ厚を14μmとした場合、全層にわたってジッターの最大値を10%以下に抑えられることが分かったとした。

読み出し装置側にも改良を加えた。球面収差を補償するためのレンズや、微弱な信号を高いSN比で読み取れる受光素子を用いたとする。対物レンズの開口数とレーザー波長は、Blu-ray Disc向けとそれぞれ同じ0.85、407nmであるため、Blu-ray Discとの互換性を維持できるとした。ただし、読み取り時のレーザー強度は現行のBlu-ray記録装置の消去時の強度と同程度まで強めた。


【脚注】
*1)2008年7月7日には16層で400Gバイトと発表したが、その後20層500Gバイトの技術を確立した。

【EE Times Japan 2008年9月号「Building Blocks」、p.33掲載記事】

PR

@IT Sepcial