60GHz帯のミリ波を利用したHD対応家庭内ネットの業界団体設立
韓国LG Electronics社と松下電器産業、NEC、韓国Samsung Electronics社、ソニー、東芝の6社は、無線通信技術を手掛ける新興企業であるSiBeam社とともに、HD(高品位)映像信号に対応する家庭内ネットワークの実現を目指し、60GHz帯利用の無線通信規格を策定する業界団体「WirelessHD」を設立した。データ伝送速度が数Gビット/秒と高い家庭内ネットワーク規格を2007年初頭をめどに策定する計画である。
策定する規格では、近距離の見通し内通信(LOS:Line of Sight)が対象になる。スマート・アンテナ技術を用いることで、10mのデータ伝送を実現する考えだ。1080pに対応したHD映像信号を、セットトップ・ボックスからテレビに伝送するといった用途を想定する。
さらにこの規格では、ビデオ・カメラやデジタル・スチル・カメラ、DVDレコーダなどの電子機器からテレビに映像ファイルを伝送するといった使い方の実現も視野に入れている。レイテンシは、5m〜15ms程度になる見込みである。
適用周波数については、米国では57G〜64GHzの免許不要の帯域を使用する。最大10Wの送信出力が許可されているからだ。欧州と日本は59G〜66GHzの帯域を使用する予定である。
現時点での不明点は数多い
今回の業界団体策定に当たって配布された資料には、疑問に対する未回答部分が数多く残っている。例えば、同団体が行ったプレゼンテーションの中で、近距離の見通し内通信に向けた「IEEE 802.153c」の活動と連携する可能性を示唆したが、実際にどのような形で連携をとるのかは明確に説明されていない。
このほかにも疑問がある。例えば、同団体が目指す仕様をどのような技術で実現するのかという疑問に対する回答はない。さらにUWB通信規格「IEEE 802.11n」や、ケーブル利用の接続技術であるHDMIやDVIとどのように競合するのか、もしくはすみ分けるのかという疑問にも明確に答えていない。現時点でこの団体には、UWB技術を利用して200Mビット/秒のデータ伝送速度を実現する「WirelessUSB」をサポートするパソコン・メーカーは含まれていない。
同団体では、「誤り訂正やフレーミング、タイミング制御といった技術を駆使する」としているが、QoS(Quality of Service)機能の実装方法や、家庭内ネットワークに特有のQoSへの対応方法についても明確に述べていない。
WirelessHDで初期段階に使用する半導体チップの一部は、米University of CaliforniaのBerkeley Wireless Research Centerのメンバーによって2004年に設立されたSiBeam社が提供するとみられる。ほかの半導体チップ・ベンダーが、この団体に参加するかどうかは、今後明らかになる。
米国の市場調査会社であるIn-Stat/MDR社は、高速のデジタルAVインターフェースを備える電子機器の世界全体における出荷台数は、2006年の6000万台から、2009年には4億9500万台に増加するとみている。
(Rick Merritt:EE Times)
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