AMD社がファブレスに、半導体製造部門の分離独立を正式発表

 マイクロプロセッサの大手メーカーである米Advanced Micro Devices(AMD)社は、かねてから予想されていた、同社の半導体製造部門の分離独立を正式に発表した。アラブ首長国連邦アブダビ首長国の政府系投資会社であるAdvanced Technology Investment Company(以下ATIC社)の出資を受けて、新たな半導体ファウンドリ企業を共同で設立する。新ファウンドリ企業は一時的な名称を「The Foundry Company」としており、ドイツのドレスデンにあるAMD社の製造工場を引き継ぎ、追加投資によって最先端プロセス技術に対応させるほか、米ニューヨーク州サラトガ郡に新たにウエハー処理工場を建設する予定である(AMD社の報道発表資料の和訳)。

ATIC社は今回、新ファウンドリ企業に21億米ドルを出資する。このうち14億米ドルは新ファウンドリ企業へ直接投資される。残り7億米ドルは、新ファウンドリ企業の増資株の購入に向けてAMD社に支払われる。新ファウンドリ企業の株式は、ATIC社が55.6%、AMD社が44.4%をそれぞれ保有する予定だ。

さらにATIC社は、今後5年間で最低36億米ドル、最高60億米ドルを新ファウンドリ企業に追加出資するという。この追加出資については、新ファウンドリ企業がAMD社から引き継ぐドレスデン工場の設備を拡張してチップ製造能力を高めたり、前述したニューヨーク州の新工場建設に充当する計画である。AMD社は現在、ドレスデンに2つの製造工場を保有しており、そのうちの一方については新ファウンドリ企業への移管後に、300mmウエハーに対応した最先端設備に更新するという。なおATIC社は、AMD社の既存の負債12億米ドルも引き継ぐ。

こうした動きと同時に、ATIC社と同じくアブダビ首長国の政府系投資会社であるMubadala Development社は、AMD社の株式を3億1400万米ドル分購入する。Mubadala社は以前からAMD社の株式を8.1%保有しており、この追加投資でMubadala社のAMD社に対する出資額は現在の2倍に増加し、株式保有率は完全希薄化後ベースで19.3%になる。

新ファウンドリ企業のCEO(最高経営責任者)には、現在AMD社の製造担当上級副社長を務めるDoug Grose氏が、現職を退任して就任する。

新ファウンドリ企業の会長には、現在AMD社のエグゼクティブ・チェアマン兼取締役会会長を務めるHector Ruiz氏が、その座を退いて就任する予定だ。同氏は報道陣やアナリストとの電話会見の中で、ニューヨーク州に建設する予定の新工場については、ニューヨーク州当局との間でインセンティブに関する本格的な交渉が始まったばかりだと述べた。「これまでのところ、ニューヨーク州当局はわれわれに対し大きな熱意を示している。今後われわれは合意に達し、当局からインセンティブを受けられると信じている。しかし、現時点では署名には至っていない」(同氏)。

この新ファウンドリ企業設立に関する手続きは、2009年初頭にも完了する見通しだ。Ruiz氏は、新ファウンドリ企業設立の契約が最終的にまとまれば、AMD社でおそらく「余剰人員の小規模な解雇」(同氏)が実施される可能性があることや、現在AMD社の米テキサス州オースチン拠点とシリコンバレー拠点でプロセス開発に携わっている従業員約300人が新ファウンドリ企業へ移籍することも述べた。新ファウンドリ企業の従業員3000人の大部分は、当初はドレスデン工場に勤務する予定だという。

なお新ファウンドリ企業は、22nmプロセス世代にわたるSOI(Silicon on Insulator)技術とバルクSi(シリコン)技術の両分野それぞれについて、米IBM社が主導する先端プロセス開発のアライアンスに参加する予定である。

 

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