
第6部 無線伝送技術、HD映像を非圧縮で無線伝送、複数メーカーがデモを展示
デジタルAV機器同士の無線接続に関する展示にも動きがあった。「CEATEC JAPAN 2007」との大きな違いは、高品位(HD)映像を無線伝送するデモを、複数のAV機器メーカーが見せたことだ。今後、薄型テレビやディスプレイ部から切り離したテレビ・チューナー、DVDレコーダなどのデジタルAV機器を相互に無線で接続しようという点で各社の考えは一致しているようだ。しかし、複数ある無線通信方式のうち、どれが主流になるのかは混沌とした状況だ。AV機器メーカーは、それぞれが支持する無線通信方式を使ったデモを見せていた。
2009年に製品化予定
パナソニック(旧松下電器産業)と東芝は、HD映像を非圧縮で無線伝送するデモを見せた。60GHz帯を使って最大4Gビット/秒のデータ伝送速度を得る「WirelessHD」方式を使用するもので、国内では初披露となる。両社がデモで訴求したのは、今後進むべきテレビの姿である。
パナソニックは、3~5年後のリビング・ルームを想定した「空間まるごと一歩先のくらし」ブースと、「WirelessHD」のパネルを掲げたブースの2カ所で、WirelessHD方式を採用するテレビ・チューナーと薄型テレビの試作機を展示し、これを使ったデモを見せた。「WirelessHD」のパネルを掲げたブースでは、Blu-ray Discレコーダに格納した1080pのHD映像を薄型テレビに向けて伝送した(図1)。具体的には、Blu-ray Discレコーダとホーム・シアター装置、ホーム・シアター装置とテレビ・チューナーがそれぞれHDMIケーブルで接続してある。そして、テレビ・チューナーと薄型テレビにそれぞれ無線モジュールが内蔵してあり、Blu-ray Discレコーダの映像コンテンツを、テレビ・チューナーを介して無線伝送する仕組みである。それぞれの機器は、同社のデジタルAV機器を統合制御する「ビエラ・リンク」に対応しており、1つのリモコンですべての機器を操作できる。「将来は、すべての機器を無線で相互接続することを検討している」(同社の説明員)という。

パナソニックのブースでは、1080pのHD映像を非圧縮で無線伝送した。障害物があっても安定して映像を表示できることや、ゲームをする際にも伝送遅延の悪影響をほとんど感じないことを強調していた。
一方、東芝は試作機を使って2つのデモを見せていた。1つは、ノート・パソコンに格納したHD映像を、ノート・パソコンに外付けした無線アダプタを介して、薄型テレビに向けて無線伝送するもの。薄型テレビには無線モジュールが内蔵してある。もう1つは、多数のコンテンツの中から一般消費者それぞれの好みに合ったコンテンツを抽出するアルゴリズムと、抽出したコンテンツを表示する独自のユーザー・インターフェースを組み合わせた「関連ナビ」機能のデモである。
WirelessHD規格を採用するデジタルAV機器の製品化に向けては、60GHz帯という高い周波数の電波を使うことに起因した技術的難易度の高さを指摘する声がある。両社は、実際に試作機を披露し、これを動作させることで、製品化直前まで開発が進んでいることをアピールした。パナソニックのブースでは、送信側と受信側の間を人が通っても、テレビの表示画面に何ら乱れが生じないことを見せていた。このほか、受信側の無線モジュールに手を近接させて、映像表示できないような状態をわざと作り出すことで、無線で映像コンテンツを送っていることを証明していたのが印象的だった。
ソニーと三菱電機も、1080i形式のHD映像を非圧縮で伝送するデモを見せた。無線通信方式は、パナソニックと東芝が採用したものとは異なる。イスラエルAMIMON社が開発した独自方式を採用したようだ。使用する周波数帯域は5GHz帯で、伝送距離は20m程度である。両社はともに、無線モジュールを内蔵したテレビとテレビ・チューナーを展示した。いずれも2008年11月に出荷を予定する機種である。三菱電機のブースでは、薄型テレビを配置する場所の自由度が高いことや、テレビ・チューナーとBlu-ray Discレコーダを接続して手元に置けば、ディスクを取り替える際の操作性が高まることをアピールしていた。
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