【IEDM 2008】岐路に立つフラッシュ・メモリー開発

 米カリフォルニア州サンフランシスコで2008年12月15日~17日に開催された半導体素子の国際学会「2008 IEEE International Electron Devices Meeting(IEDM 2008)」の基調講演で、米Being Advanced Memory Corp(BeingAMC)社の社長兼CTO(最高技術責任者)を務めるStefan Lai氏が、「今日のフラッシュ・メモリー技術は、微細化(スケーリング)の限界に到達しつつある」と、フラッシュ・メモリー開発の前途に警鐘を鳴らした。大容量や高速性、低消費電力、不揮発性など、メモリーに求められるあらゆる条件を兼ね備えた「ユニバーサル・メモリー」が求められて久しいが、同氏は「その実現が今こそ、求められている」と語った。なお同氏は、かつて米Intel社でフラッシュ・メモリーの研究開発を統括していた人物である。

3次元(3D)フラッシュ・メモリーやクロスポイント・メモリー、磁気抵抗メモリー(MRAM:Magnetic Random Access Memory)、相変化メモリー(PCM:Phase Change Memory)、プログラマブル・メタライゼーション・セル(PMC:Programmable Metallization Cell)メモリー、抵抗変化メモリー(RRAM:Resistance Random Access Memory)など数多くの新興技術が、市場参入の機会を狙って開発競争を繰り広げている。一体どの技術がユニバーサル・メモリーとしての地位を確立するのか、勝利の行方はまだ分からない。一部の技術については、限定的ながらもすでに製造が開始されているが、各技術とも何らかの弱点があり、いずれも完全とはいえない。

そうはいっても新方式のメモリー技術の開発は、急を要している。Lai氏は、「既存のNAND型フラッシュ・メモリーおよびNOR型フラッシュ・メモリーは理論上、最高22 nmまで微細化できる。ただ、22 nmプロセスによる製造を実現したとしても、これほど微細な構造では、情報を記録する電荷量の低下は避けられない」と、問題を指摘した。

さらに同氏は、「フラッシュ・メモリーの開発は、岐路に立たされている。従来のアプローチを継続するだけでは、今後の開発はますます困難を極めるだろう。微細化の限界は、すぐそこに迫っている」と警告した。

この基調講演で、Lai氏は、ユニバーサル・メモリーの候補となる技術を列挙し、各技術のメリットとデメリットについて、次のようにコメントした。

●シリコン貫通電極(TSV:Through Silicon Via)技術による3次元化:Lai氏は「製造コストの削減は難しい」と指摘する。

●3次元クロスポイント型メモリー:Lai氏によれば、この技術は3Dメモリーを手掛ける米Matrix Semiconductor社(米SanDisk社に買収され、現在は同社の事業部門の1つになっている)によってすでに製造されているが、「クロスポイント型メモリーの製造では、リソグラフィ技術による制限が生じる」というデメリットがあるという。

●MRAM:Lai氏はMRAM技術について、「市場参入の機会は十分にあると考えられるが、価格面では最安メモリーにはなり得ない」と推測する。

●PCM:Lai氏の一押しがこのPCMで、「微細化の限界は、採用する材料次第」だという。

●RRAM:「RRAMの開発は注目を集めているが、現段階では、大容量アレイの実現はまだ報告されていない。書き換えサイクルについても、PCMには及ばない」とLai氏はコメントした。

 

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