「ごめん、今のくしゃみは選局じゃないんだ」、ジェスチャ操作TVが市場へ ~ 【CES直前特集】2009年の注目技術
家電機器の開発者にとって、「完全無欠なマン・マシーン・インターフェース(MMI)」は、永遠の課題だといえる。
2009年は、ジェスチャ(手ぶり)によって操作できる大画面テレビの登場に期待しよう。目指すのは、画面に向かって手を振るだけで、テレビをオン/オフしたり、チャネルを変えたり、画面に表示された複数のビデオ・ウインドウをブラウジングして好きなものを選んだりといった操作を簡単に実行できるユーザー・インターフェースである。リモコンは不要だ。パナソニックや日立製作所、東芝などの大手家電メーカーが開発を進めている。
これまで民生機器業界は、数多くのユーザー・インターフェースを提案してきた。古き良き赤外線リモコンから、マウスやキーボード、ジョイスティック、トラックボール、画面上に表示する「カルーセル」、「ホイール」、さらには加速度センサーを搭載した「魔法の杖」に至るまで、実にさまざまだ。米Microsoft社が「ソーシャル・インターフェース」と呼んで1995年に発表した、Windows 3.1向けGUIで、小さい漫画のキャラクタがホスト役を務める今となってはこっけいな「Microsoft Bob」も忘れてはならない。このほか、いつの時代にも「ユーザー・インターフェースの次のパラダイム」とうたわれる音声制御のユーザー・インターフェースもある。
しかしなぜ今、業界はジェスチャ操作の可能性を探っているのだろうか。これには大きく2つの要因がある。第1に、旧来のリモコン制御は、急激に複雑化が進んでおり、使いこなせないユーザーが増えつつある。第2に、現在の大型テレビは、単一の画面に複数のビデオ・ウインドウを同時に表示する機能を備えており、ユーザーがそれを直感的に操作できるツールが求められている。
すでに家電メーカー各社は、テレビを手ぶりによって操作するデモを見せている。円を描くように手を動かしたり、あるいは前後や左右に手を動かしたりというシンプルな動作で、画面に表示された画像を回転させたり、ビデオ・ウインドウの1つを画面のはじに寄せたり、画面上で映像をズームイン/ズームアウトしたりといった操作が可能である。
こうしたジェスチャ操作を実現する技術がセンサーである。例えばパナソニックは、赤外LEDと専用のCCDイメージ・センサー、FPGAなどからなる新型のイメージ・センサー・モジュールを開発した。
このモジュールは、赤外LEDの射出光が対象物に反射してCCDイメージ・センサーに到達するまでに要する時間である「タイム・オブ・フライト」を、画素ごとに計測することでジェスチャを検出する。累積したタイム・オブ・フライトのデータから対象物との距離を求めて、ジェスチャの奥行き方向の情報をリアルタイムに捕捉する仕組みだ。
日立製作所も、ジェスチャ操作のテレビをデモしている。同社のイメージ・センサーは、エンド・ユーザーがテレビから2~3m離れた位置にいるときにジェスチャを最も良く認識できるように設定されている。
ジェスチャ操作のテレビは、従来よりも優れた、より直感的なユーザー・インターフェースを実現できるだろうか? そしてユーザーにリモコンを手放させることができるだろうか? 2009年に製品が市場に投入されれば、その答えが明らかになる。
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