「4G無線」、実現への道のりは今なお長い ~ 【CES直前特集】2009年の注目技術

LTE規格は、モバイル・データ通信に関する初の「真の世界標準」になると期待されている。対応機器の投入時期については、データ・カードが2010年以降、携帯型端末が2011年以降になるとみられる。

 次世代の無線ブロードバンド技術の到来について、期待を高めるのは時期尚早である。完全に無線化されたブロードバンド・ネットワーク・サービスへのアクセスが実現するには、まだ2~3年はかかりそうだ。ただ、携帯電話網の高速データ・アクセスに向けた第4世代(4G)の通信技術として開発途上にあるLTE(Long Term Evolution)規格については、2009年中にスタート地点に立つことができるとみられる。

LTE規格に基づくモバイル向けブロードバンドの立ち上がりについては、いまだに不確定の要素が多い。しかし半導体チップ・ベンダーは、第4世代技術に対応したチップを市場の興隆に間に合わせようと、設計開発を加速させている。

民生機器メーカー各社は、過去に2.5Gネットワークと3Gネットワークが導入された際に、相互利用可能な端末をタイミング良く供給できなかったという苦い経験から、今回は同じミスを繰り返したくないと考えている。

LTEの導入期において課題になるのは、パソコンや携帯型コンピュータなど、携帯電話機以外の機器に向けて、LTE対応のデータ通信モジュールを確実に供給できるようにすることだろう。LTEによる性能の強化は、当初はデータ通信速度の向上に主眼が置かれており、音声通信の品質や通信可能エリアの拡大が優先されているわけではないからだ。対応端末の投入が遅れれば、携帯機器メーカーは非難を浴びることになる。

ただし、事はそう簡単ではない。標準化団体である3GPPのサポートの下、重要な技術仕様「Release 8」の策定については2008年12月中に完了する予定ではあるものの、LTEの標準化のプロセスはまだ時間がかかると見込まれるからだ。しかも、問題がこれだけではないことは業界にとって周知の事実である。

LTEが運用される周波数帯に関しては、900M~2.6GHzの間のいずれになるのか、かなり不透明である。さらに通信事業者各社は、LETのネットワーク・トポロジについて検討しなければならない。例えば、「ホットスポットだけを対象にするのか?」「2Gや3Gを短い期間で置き換える技術になり得るのか?」「データ通信だけをサポートするのか、それとも当初からデータ通信と音声通信の両方に対応するのか?」などである。

こうした状況では、半導体チップ・ベンダーは、高い柔軟性や互換性を備えたチップを開発しなければならない。4Gでは、LTEだけに対応すれば済むというわけではないからだ。商用化では、モバイルWiMAXの方がわずかに先を行っている。従って、半導体チップやCPE(加入者宅内機器)、端末の設計者たちは、LTEとモバイルWiMAXの両方の環境に対応できるRF処理部やベースバンド処理部を開発し、無線ブロードバンド・アクセスに向けた単一のソリューションを実現する必要がある。

LTE対応機器の投入時期については、データ通信モジュール(データ・カード)が早くても2010年以降、携帯型端末については2011年以降になるとみられている。最終的には、LTE規格は複数の周波数帯域においてTDD(Time Division Duplex:時分割複信)とFDD(Frequency Division Duplex:周波数分割複信)の両モードに対応し、モバイル・データ通信に関する初の「真の世界標準」に発展すると期待されている。


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