LED照明の進展を材料技術が加速、高出力時の効率低下を改善へ
LEDの効率を高めて固体素子照明に利用するという機運が高まっている。研究者らによれば、LED技術の進展によって、その用途はさらに広がる可能性があるという。
韓国Samsung Electro-Mechanics社と、米国の研究機関であるRensselaer Polytechnic Institute(RPI)は、「LEDメーカーは競争力を維持するため、特許出願中の技術をライセンス供与することを検討すべきだ」との見解を示す。また、固体素子照明に切り替えることで、今後10年にわたって何兆米ドルものエネルギ・コストを節約できると予測している。
しかし現状では、LED技術の普及に取り組む業界の経営幹部でさえも、「照明としてのLEDの用途は、駐車場向けなどの限定的な用途に限られており、住宅向けについては、仕事部屋にとどまっており、しかもLED照明のために配線を引き直さなければならない」と述べている。
Rensselaer Polytechnic Institute付属の研究機関Smart Lighting Engineering Research Centerでプロジェクト・リーダーを務めるFred Schubert氏は、同研究機関が、「新材料を使うことで、固体素子照明に革命を起こす取り組みを始めた」とし、さらに「過去10年間、高出力LEDには同じ材料が使われてきた。われわれの新手法は、LEDの活性領域の中核要素を変えるものだ。これは、固体素子照明の世界に革命をもたらすだろう。この新手法は、全世界でおよそ100億米ドル規模といわれるLED市場のうち、およそ75%に適用できる」と述べている。
現在のLEDは、活性領域における量子井戸に窒化ガリウム・インジウム(InGaN)を使用しており、窒化ガリウム(GaN)の厚い障壁層の間に挟まれている。これら2つの材料の相対比によって、LEDの発光色が紫色からアンバーの間で変化する。両材料の格子の不整合によって電子リークが起こり、高出力時にLEDの効率が低下してしまう。
Schubert氏は、「窒化ガリウムの障壁層は比較的シンプルな材料だが、窒化ガリウム・インジウムの量子井戸とは格子が整合しない。この格子不整合が、高出力時に効率が低下する物理的な原因である」と説明する。
高出力時にこうした効率低下が発生するため、LEDは出力を高めるほど光量当たりの所要電力が増大してしまう。Schubert氏は、「これこそ、エネルギ損失の最大の要因であり、現在の固体素子照明における最大の課題である」と述べた。
Shubert氏の研究グループは、LEDの素材に、窒化ガリウム単体ではなく、格子が整合する窒化ガリウム・インジウムの層を使用することで、高出力時のLEDの効率低下を従来に比べて25%抑えられると主張する。
「材料の格子整合を高めることで、かなりの改善が得られる。これではまだ完全とはいえないが、高出力LEDによる固体素子照明に向けて、大電流駆動時のLEDの出力レベルをさらに高める取り組みが間違いなく必要である」(同氏)。
材料間の格子不整合が大きいと、当初は電流に沿って流れていた電子が、再結合によって発光できる領域に戻ろうとして電流に対向するようになる。同氏によれば、「格子整合をとることで、効率を改善できるだけでなく、順方向電圧も低減できる」という。
LEDの理想的な効率は、約300lm/W(ルーメン/ワット)だが、現時点では最も効率が高い試作品でも、170lm/W程度にとどまっている。Samsung Electro-Mechanics社とRensselaer Polytechnic Institute(RPI)が開発した新プロセスを使い、いくつか関連の改善を施すことで、Shubert氏は200lm/WのLEDを今後数年で実現できると予測している。
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