ボード向け高速EM解析ツールのPhysware社、半導体パッケージ向け抽出ツールを開発

Spiceモデル抽出ツール「PhysAPEX」である。

米Physware社の創設者でCEO(最高経営責任者)を務めるVikram Jandhyala氏である。同氏は、米University of Washingtonの電子工学科の准教授で、同大学の「Applied Computational Engineering Lab」のディレクタを務めていた人物だ。同大学での研究成果を商用化するため、2006年に同社を設立した。2009年1月22~23日に横浜で開催された「Electronic Design and Solution Fair 2009(EDSFair2009)」の同社ブースでEE Times Japanが撮影。

フルウエーブの3次元電磁界解析ツール「PhysWAVE」である。

 電磁界(EM)解析ツールを手掛けるEDAベンダーの米Physware社は、半導体パッケージなどのSpiceモデル抽出ツール「PhysAPEX」を開発した。複数のチップを積層して1つのパッケージに収めたSiP(System in Package)や、SiPをプリント基板に実装した状態など、複雑な構造を解析対象とする。特徴は、「競合他社品に比べて、同等の精度を確保しながらも、処理速度が大幅に高い上、少ない所要メモリーで大規模な構造物を解析対象として扱える」(CEO(最高経営責任者)を務めるVikram Jandhyala氏)ことだという。同社が従来からプリント基板向け電磁界解析ツール「PhysWAVE」に採用していた、Maxwellの方程式を簡略化せずに高速に解く独自の電磁界解析手法「Accelerated Boundary Element」を基に、さらにPhysAPEXでは電磁界を準静的(quasi static)に扱うことで高速化を実現したとする。

 プリント基板やチップのレイアウト・データをCADツールから読み込んで、静電容量(C)成分とインダクタンス(L)成分、抵抗(R)成分を抽出し、Spiceのネットリストのほか、IBIS(I/O Buffer Information Specification)形式のモデルを出力する機能を備えたツールである。こうして抽出したモデルは、回路シミュレータでシグナル・インテグリティ(波形品質)やパワー・インテグリティ(電源品質)を解析する際に使える。すでに出荷を始めており、日本国内における価格は、1年間のライセンス料が3万2500米ドルである。

 同社の3次元電磁界解析ツールであるPhysWAVEは、2007年に「PhysPack」と呼んで発売した製品で、その後、現在の名称に改めたものだ。Maxwellの方程式を簡略化せずに解くいわゆるフルウエーブ品である。主に半導体チップの一部や、半導体パッケージをプリント基板に実装した状態を解析対象とし、Sパラメータを求める機能を備える。前述の通り独自のAccelerated Boundary Elementを採用することで、フルウエーブ品ながらも、有限要素法(FEM)を使う競合他社のフルウエーブ品に比べて処理速度を大幅に高めたことが特徴だという。「シグナル・インテグリティ解析に向けたSパラメータ抽出において、比較的大規模な構造物を扱う場合には10倍、小規模な構造物でも5倍程度は高速だ。雑音源を設定してEMI(放射電磁雑音)を解析する機能も備えており、競合他社品の100倍も高速である」(同氏)と主張する。

 高速化の具体例の1つとして同社は、ハード・ディスク装置関連のユーザー企業がDDRインターフェースを配線したプリント基板を解析した事例を挙げる。基板の一部の領域を対象にしたところ、FEMを使う競合他社品では所要時間が10分、所要メモリーが4.5Gバイトだったが、PhysWAVEでは2分30秒、1Gバイトで済んだ。基板全体を対象にしたところ、競合他社品では収束せず解を求められなかったが、PhysWAVEでは1時間、5Gバイトで結果が得られた」(同氏)という。

 PhysWAVEの日本国内における価格は、1年間のライセンス料が6万5000米ドルである。

問い合わせ先:米Physware社のホームページ

(薩川格広:EE Times Japan)


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