九州工業大学、ファイバ構造を色素増感太陽電池に適用、透明導電膜を不要に

九州工業大学大学院生命体工学研究科の教授を務める早瀬修二氏が率いる研究グループが透明導電膜(TCO)を用いないファイバ構造を採る色素増感太陽電池を開発した。

2009年3月29~31日まで、京都大学で開催された電気化学会第76回大会と、2009年3月30日から4月2日まで、筑波大学で開催された第56回応用物理学関係連合講演会で「ファイバー型TCO-less色素増感太陽電池」として発表したもの。

長さ3.5cm、直径9mmのガラス棒(ファイバ)の周囲に色素増感太陽電池を構成する各種の層を同心円状に形成した。TiO2(二酸化チタン)や増感用色素からなる層、アノードの役割をするTi(チタン)の多孔質層、I2(ヨウ素)溶液やそのほかの電解液を含む多孔質層、カソードの役割をするPt(白金)やTiからなる層の順に、ガラス棒の周りに形成されている。ガラス棒の両端部以外はTiで被われている。

目下のところ、新しい太陽電池の変換効率は、1種類の色素を使った場合1%をわずかに超える程度である。変換効率については低い印象を受けるが、ガラス棒の直径は9mm、太陽電池として作用する部分の長さはわずか約1.5cmである。結果として、棒の先端から入射する光の約90%が、電力に変換されないまま別の端から出ていってしまうのだという。

これは、ガラス棒の片側の端から入射した光のうち、ガラス内部の界面で全反射されない入射角をもつ光のみが、棒のもう一方の端から抜け出る前に、太陽電池の色素に吸収されて電気に変換されるからだ。

このような効果がなければ、太陽電池の変換効率自体は、実測値の10倍、つまりおよそ10%に達すると見込まれている。ガラス棒の長さを伸ばしたり、棒の直径を小さくすることで、利用されずに無駄になる光を活用できるという。

今回開発された太陽電池とほかの標準的な色素増感太陽電池の大きな違いは、新電池が透明導電膜(TCO)を使っていない点にある。九州工業大では、既存の色素増感太陽電池では未だ使用されたことのない近赤外線を利用し、電力に変換する研究についても取り組む方針だという。

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