iPhone 4を分解、iPadと部品を共用しコスト低下を図る(1)
米Apple社の新型スマートフォン「iPhone 4」は、「iPad Nano」と呼んでもいいかもしれない。米UBM TechInsights社の分解リポートから、iPhone 4が搭載する主要ICのうち少なくとも7個は、人気のタブレット型コンピュータ「iPad」と同じものだと分かったからだ。また、iPhone 4のMEMSジャイロセンサは、スイスSTMicroelectronics社が提供していることも明らかになった。
基板の液晶ディスプレイ側(図1)から見ていこう。iPhone 4はiPadと同様に、Apple社の汎用プロセッサ「Apple A4」を搭載する。そして、Apple A4の上にMobile DDR SDRAMを積層している(Package on Package)点も共通している。ただし、iPhone 4は、iPadの2倍の容量のメモリを搭載している。使っているメモリは韓国Samsung Electronics社の記憶容量512MバイトのMobile DDR SDRAM「K4X4G643GB」(推定)である。2Gビットのメモリを2枚積層したものだ。
右側にApple A4プロセッサ、左側にアナログフロントエンドICが並ぶ。
最近のApple社の製品を見ると、同社のほかの製品と部品や設計を共通にしていることが多い。例えば、米Broadcom社の802.11n対応無線LAN機能とBluetooth機能、FMの無線機能を1チップに集積した携帯型機器向けチップ「BCM4329」や、GPS受信チップ「BCM4750」はiPadでも使っていたものだ。
UBM TechInsights社でシニア・アナリストを務め、iPhone 4の分解リポートを作成したSteve Bitton氏は、「上記のチップは何百万台もの販売台数を誇るiPadに搭載されている。iPhone 4の出荷台数はiPadよりさらに多いと見込める。このことから、Apple社はこれらチップをかなりの低価格で入手しているのではないか」と推測する。
iPhone 4は、米Skyworks Solutions社のアナログフロントエンド通信ICを3つ使っている。これは、Apple社が比較的集積化が進んでいない、古い部品を好んでいることを表している。3つのICはそれぞれ、GSM/GPRSとWCDMA、ヨーロッパやアジアで使われている携帯電話通信方式に対応している。
MEMSジャイロセンサは STマイクロが供給
Apple社は「iPhone 4」を発表したときに、iPhone 4が業界の先陣を切ってMEMSジャイロセンサを搭載していることを明らかにしている。
iPhone 4は、STMicroelectronics(STマイクロ)社の3軸ジャイロセンサ「L3G 4200D」を搭載する。UBM TechInsights社は、チップ上の印刷からジャイロセンサがSTMicroelectronics社のチップであると判断した。L3G4200Dはデジタル信号を出力するため、アナログ信号を出力するジャイロセンサが必要とする、A-D変換回路が不要となる。
Bitton氏は、「iPhone 4は、ST Microelectronics社の3軸加速度センサ「LIS331DLH」を搭載している。ST Microelectronics社のジャイロセンサを採用したことは自然な流れと言えるだろう」と語っている。LIS331DLHもiPadと共通する部品だ。
Apple社は、ジャイロセンサ、加速度センサ、デジタルコンパスを搭載するにあたって、新たにプログラマがセンサの情報を取得するためのAPI「CoreMotion API」を用意した。ソフトウエア開発者が、ジャイロセンサを利用してiPhone 4でしか使えないプログラムを作るかどうか興味深いところだ。
Bitton氏は、「近い将来、iPadもジャイロセンサを搭載するだろう」と予測する。「iPadのプリント基板(PCB)を見ると、加速度計の隣に4mm×4mmの空きスペースがある。これは、ちょうどSTMicroelectronics社のL3G4200Dのパッケージサイズと同じだ」(同氏)という。
ベースバンドICもiPadと共通
基板の裏側(図2)を見てみよう。ここでも、iPadと共通の部品を使っているところがある。例えばベースバンド処理ICや無線送受信ICの業界は競争が激しくなっているが、Apple社はiPhone 4でも、既存の製品と同じくドイツInfineon Technologies社の製品を使い続けている。電源管理ICも、iPadと同じドイツDialog Semiconductor社のものを使っている。
Samsung Electronics社のフラッシュメモリがかなり大きな面積を占めている。
iPhone 4は、ほかにもiPadと共通の部品を使っている。、米Cirrus Logic社のオーディオコーデックチップ「338S0589」(推定)、Samsung Electronics社の128GビットのNAND型フラッシュメモリ「K9HDG08U5M」とスイスNumonyx社のメモリなどだ。いずれもiPhone 4とiPadで共用している。
裏面照射技術を採用した CMOSセンサを搭載
iPhone 4は500万画素のカメラを、本体背面に搭載している。iPhone 4の仕様とイメージセンサのダイを調査した結果から、カメラには、米OmniVision Technologies社の携帯電話機向けCMOSイメージセンサ「OV5650」が使われていると見られる。OV5650は、iPhone 3GSが搭載するイメージセンサよりも新しく、同社の裏面照射技術を採用したものだ。
Bitton氏によれば、通常、Apple社は価格を2〜3ドルでも低く抑えるために、旧型のイメージセンサを採用してきたという。
iPhone 4は、液晶画面側にもカメラを搭載する。このカメラのイメージセンサは、OmniVision Technologies社の「OV7675」と見られる。VGA(640画素×480画素)に対応するイメージセンサだ。
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