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大容量不揮発メモリーが登場、NAND型の4倍の記録密度、10倍の書き込み速度を備えるメモリ/ストレージ技術

» 2009年06月09日 15時23分 公開
[Mark LaPedus,EE Times]

 7年間の研究開発の後、米Unity Semiconductor社がついに不揮発性メモリー技術の開発に成功し、2200万米ドルの追加資金も獲得した。

 「CMOx」と呼ばれる同社の技術では、ある種の導電性金属酸化物(conductive metal oxide)を採用している。材料の組成は明らかにされていないが、新材料を用いることで電荷キャリアであるイオンの伝導が可能になったという。Unity社は同技術によって、メモリー・セル内にトランジスタをまったく必要としない、書き換え可能なクロスポイント型のメモリー・アレイを開発したと主張する。クロスポイント型メモリー・アレイとは、直交するビット線とワード線の交点にメモリーを形成するだけで、メモリー・アレイを形成できるセル構成をいう。

 同社は64Kビット品の開発に2年間、64Mビット品に1年間取り組んできた。そして、現在設計を進めている64Gビット品がテープアウト(設計完了)間近になっている。2010年後半にはパイロット製造を始め、2011年の第2四半期には量産出荷を予定している。

 同社は今回開発した大容量不揮発メモリーによって、まず高性能NAND型フラッシュ・メモリーの置き換えを狙えるだろう。同社は、SSD(Solid State Drive)、MID(Mobile Internet Device)、スマートホンといった用途も対象に設計されている。

 Unity社のチェアマン兼プレジデント、CEO(最高経営責任者)を務めるDarrell Rinerson氏は、「当社初の製品である64Gビットの大容量不揮発メモリーの今後2年間の生産量について検討しているところだ」と述べている。

 同社のCMOx技術を用いたメモリー素子を用いると、現在のNAND型フラッシュ・メモリーと比較して記録密度が4倍、書き込み速度が5〜10倍の製品が製造できるという。同社の設計ではMLC(Multi Level Cell)として動作する層を4層形成する。これが、大容量不揮発メモリーの記録密度を上げるカギであるという。

 CMOx技術では、電荷キャリアとしてのイオンが記憶現象の物理的な基盤となっている。同社の多層クロスポイント型メモリー・アレイには抵抗変化素子が用いられているが、ReRAM(Resistive RAM)とは異なる。CMOx技術では、導電性は素子全体で均一に生じる。ReRAMのようなフィラメント状の導電性ではない。

 市場調査会社である米Web-Feet Research社でCEOを務めるAlan Niebel氏は、「世界初のクロスポイント型ストレージ装置として、CMOxは、20nm以下に微細化することが可能であり、1セル当たり4ビットを記憶できるNAND型フラッシュ・メモリー以上の記録密度を達成できる。1セル当たりの書き込み電流は1mA以下で、NAND型と比較して10倍の書き込み性能とより優れた耐久性を備え、製造コストもずっと低い」と述べている。

 Unity社は資金調達にも成功した。2200万米ドルの資金を調達する「Series C」投資ラウンドを終了したからだ。出資したのは主に同社の主要なベンチャー投資機関3社である米August Capital社、米LightSpeed Venture Partners社、米Morgenthaler Ventures社だ。ほかに大手のハード・ディスク装置メーカーの1社も、引き続き出資を行った。この最終ラウンドによって、Unity社が現時点までに獲得した資金は総額7500万米ドル近くに達した。

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