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» 2011年01月12日 00時00分 UPDATE

Analog ABC(アナログ技術基礎講座):第25回 MOSFETで増幅器を設計(1) (1/2)

前回(第24回)は、MOSFETの基本的な性質を紹介しました。今回は、MOSFETを使った増幅回路の設計方法の基本を解説しましょう。

[美齊津摂夫,ディー・クルー・テクノロジーズ]

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 前回(第24回)は、MOSFETの基本的な性質を紹介しました。今回は、MOSFETを使った増幅回路の設計方法の基本を解説しましょう。

 バイポーラトランジスタと同じように、MOSFETにも端子が3つあります。従って、どの端子を接地*1)するかによって、3つの接続方法に分かれます。3つの端子名はそれぞれ、「ソース」と「ゲート」、「ドレイン」なので、ソース接地、ゲート接地、ドレイン接地と呼びます(図1)。

 前回紹介したように、3つの端子以外にも「バックゲート」と呼ぶ端子がありますが、この端子は多くの場合、電源(VDD)またはGNDに接地します。バックゲートをVDDやGNDに接地しない使い方もありますが、少々特殊なので*2)、別の機会に紹介します。

図1 図1 MOSFETの3つの接続方法 (a)はソース接地、(b)はゲート接地、(c)はドレイン接地(ソースフォロア)と呼びます。
*1) 実際にはGNDに接続されていなくても、電圧が変化しなければ、接地と呼びます。

*2) 基板(バックゲート)の電位を変えることで、しきい値(Vt)が変わる「基板バイアス効果」を利用することがあります。

バイポーラと同じく3つの接続方法

 増幅回路の設計に入る前に、3つの接続方法の特徴をおさえましょう(表1)。3つの接続方法の中で、最もよく使うのは、ソース接地です。ゲートに入力した微小信号を増幅してドレインから取り出す増幅回路として使います。入力インピーダンスはほぼ無限大で、これがMOSFETの最大の特徴と言えます。

表1 表1 3つの接続方法それぞれの特性 ソース接地とゲート接地、ドレイン接地の主な用途や、入力インピーダンス、出力インピーダンス、利得をまとめました。*3) 最先端の微細プロセスでは、ゲートを流れる漏れ電流が無視できなくなっています。

 出力インピーダンスは理想的には負荷抵抗R1となります。ただ実際には、ドレイン-ソース間電圧Vdsによって、MOSFETの出力インピーダンスが低下するので、ソース接地の出力インピーダンスは負荷抵抗R1よりも下がります。利得は、バイポーラトランジスタと同じで、R1×gmと表現できます。gmは、MOSFETの相互コンダクタンスです。詳しくは、本連載の「第9回 エミッタ接地回路のサプリメント〜エミッタ・フォロア〜」を参照して下さい。MOSFETでは、バイポーラトランジスタほど大きなgmが得られないことに注意する必要があります。

 次によく使うのは、ゲート接地です。ソースに入力した電流をそのままドレインに出力する回路です。ソース接地の出力インピーダンスの低下を改善するために使うことが多く、電流源に応用するのが一般的です。

 バイポーラトランジスタのベース接地は、増幅回路の動作速度を高め、周波数特性を改善するために使いました(本連載の「第10回 エミッタ接地回路のサプリメント〜ベース接地回路〜」を参照して下さい)。MOSFETはバイポーラトランジスタほど大きなgmが得られないために、ソース接地の動作速度を高めるために使うことは、あまりありません。

 最後のドレイン接地(ソースフォロア)は、ゲートに入力した電圧をそのままソースに出力する回路です。例えば図1(c)で、入力端子INの電圧が高くなると、出力端子OUTの電圧も同じだけ高くなります。高い入力インピーダンスを利用して、バッファ回路として使います。ただし、gmが小さいため、次段の負荷によっては、希望通りに動作しないので、注意が必要になります。利得は、ほぼ0dB(1倍)です。

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