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英国が4G向け周波数帯の入札計画を発表、2012年第一四半期に実施へビジネスニュース 業界動向

英国の通信規制機関であるOfcom(Office of Communications)は、英国内における第4世代(4G)移動体通信向けの周波数帯をオークションにかける予定だと発表した。

» 2011年03月28日 00時00分 公開
[Peter Clarke,EE Times]

 英国の通信規制機関であるOfcom(Office of Communications)は、英国内における第4世代(4G)移動体通信向けの周波数帯をオークションにかける予定だと発表した。入札に関する詳細な規則を定め、その手続き内容を明らかにしている。入札は、2012年第1四半期に実施する予定だという。

 Ofcomは、4Gの定義にLTE(Long Term Evolution)とWiMAXを含めている。英国では、携帯電話機ユーザーに向けてビデオのストリーミングなどに対応可能な広帯域通信を実現するための技術や周波数スペクトルが必要とされている。4Gが実用化されれば、携帯電話の通信帯域幅を、ADSLによる現行の有線通信の帯域幅に近付けることが可能だ。

 4G帯の入札は2012年第1四半期に行われる予定で、商用サービスの開始は2013年を見込む。しかし、米国や日本では、すでに一部の地域で4Gネットワークの構築が完了していることから、英国はかなり後れを取っているといえる。Ofcomは入札を進めるにあたって、英国全世帯の95%をカバーできるようにする条件を整えることに加え、英国内の4G対応サービス事業者を少なくとも4社参加させて競わせることを定めている。

 入札対象となる周波数帯は、800MHz帯と2.6GHz帯の2つである。800MHz帯は、アナログテレビからデジタルテレビへの移行によって跡地となる周波数帯の一部である。携帯電話で広いカバー領域を確保するために適する帯域だ。一方2.6GHz帯は、高速通信の実現に向く。これらの2つの帯域を合わせると、最大で250MHzの周波数帯域が携帯電話向けに追加されることになる。

 4Gの入札は、英国政府にとってもメリットが大きい。前回、2000年に行った3G帯の入札では、225億ポンド(約367億米ドル)の値が付いた。

 携帯電話は今や一般に広く普及し、日常生活やビジネスにおける重要性が高いことから、次回の4Gの入札は前回よりもさらに高い値が付くと考えられる。しかし前回は、3G帯を獲得したサービス事業者にとって、落札価格があまりにも高額だったために、長年にわたってサービスの実用化に遅れが生じたとされている。例えばドイツでは、2000年に行われた3G帯ライセンスの入札では510億ユーロ(現在で約725億米ドル)の値が付いたが、2010年5月に行われた800MHz帯と1.8GHz帯、2.0GHz帯、2.6GHz帯の入札額は43億8千万ユーロ(現在で約62億米ドル)にとどまった。

 OfcomのChief Executiveを務めるEd Richards氏は、「今回のオークションは英国のモバイル通信市場にとって極めて重要である上に、より大きな経済圏にとっても非常に大きな意味を持つ。4Gは、現代社会において不可欠な存在になりつつある各種のデータサービスをサポートするようになるだろう」と述べている。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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