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「10年ぶりに帰ってきた」、アジレントがEMC試験向け高性能スペアナを投入テスト/計測

アジレント・テクノロジーは、電気・電子機器の電磁両立性(EMC)のコンプライアンス試験に向けて、高性能スペクトラムアナライザー(EMIレシーバ)の新機種「N9038A MXE」を発売した。

» 2011年03月31日 19時04分 公開
[薩川格広,EE Times Japan]

 アジレント・テクノロジーは、電気・電子機器の電磁両立性(EMC)のコンプライアンス試験に向けて、高性能スペクトラムアナライザー(EMIレシーバ)の新機種「N9038A MXE」を発売した(図1)。同社はかつて同用途向けのEMIレシーバを手掛けていたが、「ここ10年の間は新機種を投入していなかった」という。同社によれば、自動車の電化やテレビなどの民生機器のデジタル化、各種通信インタフェースのデータレートの向上、LSIを構成するトランジスタの高速化などが進展し続けており、妨害波や不要ふく射の増大が課題になっていることから、EMC試験の市場は拡大している。

図1 図1 EMC試験用の高性能スペクトラムアナライザー「N9038A」 出典:アジレント・テクノロジー

 新機種は、同社のシグナルアナライザー「Xシリーズ」を基に開発した。国際電気標準会議(IEC)が定める電気・電子機器のEMI(電磁雑音)測定装置の規格「CISPR 16-1-1 2010」の勧告に完全に適合するという。放射性雑音と伝導性雑音のどちらのEMI測定にも対応可能だ。EMI測定時の絶対振幅確度は、「CISPR 16-1-1規格の仕様を大きく上回る±0.78dBを実現した。高い振幅確度と再現性でEMI測定を実行できる」(同社)としている。受信感度は、表示平均雑音レベル(DANL)が例えば1GHzで−163dBm/Hz(−60dBμV/Hzに相当する)と高い。

 測定周波数範囲が20Hz〜8.4GHzの「N9038A-508」と同20Hz〜26.5GHzの「N9038A-526」の2機種を用意した。いずれも、前述の通りシグナルアナライザーのXシリーズを基にしているため、同シリーズで動作する各種の測定アプリケーションソフトウエアをそのまま使える。雑音指数測定(オプションを発売予定)や、位相雑音測定、無線通信測定などにも1台で対応可能だ。価格は8.4GHz機が約950万円、26.5GHz機が約1250万円である(いずれも2011年3月29日時点の税別参考価格)。

設置・保守用の携帯型スペアナも発売

 この他アジレントは、無線通信システムの設置や保守、障害解析などに向けた携帯型スペクトラムアナライザーの新機種も発売した(図2)。測定周波数範囲が1MHz〜20GHzの「N9344C」と、同1MHz〜13.6GHz「N9343C」の2機種である。携帯型ながらも、「据え置き型に迫る性能に加え、現場での使用を想定した機能や耐久性、自動化などを実現した」(同社)という。

図2 図2 無線通信システムの設置・保守に向けた携帯型スペクトラムアナライザー「N9344C」 出典:アジレント・テクノロジー

 性能については、測定速度と感度を重視した。測定時の掃引時間は最小2ms以下で、分解能帯域幅(RBW)を30kHz、10kHzと比較的狭く設定した場合でも数秒以下に抑えている。「市場で高いシェアを獲得している競合他社製品と実機のベンチマークテストで比較したところ、3倍〜5倍高速に測定できた」(同社)。感度は表示平均雑音レベル(DANL)を5GHzで−135dBm/Hz、10GHzで−137dBm/Hz、15GHzで−136dBm/Hzに抑えており、「競合他社製品に比べて10dB低い値だ」(同社)と主張する。

 価格は、20GHz機が211万4261円、13.6GHz機が179万5757円である(いずれも2011年3月29日時点の税別参考価格)。

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