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» 2011年05月27日 18時48分 UPDATE

ワイヤレス給電技術:【ワイヤレスジャパン2011】電波から電力を回収するデモを日本電業が披露、電子レンジの省エネにも

アンテナと整流回路を組み合わせたいわゆる「レクテナ」を使う。物流用RFIDタグへのワイヤレス給電や、産業用電子レンジなどの大電力マイクロ波を利用する装置における電力回生を提案する。

[薩川格広,EE Times Japan]

 無線通信用アンテナや放送設備用フィルタなどを手掛ける日本電業工作は、無線通信関連の展示会/セミナー「ワイヤレスジャパン2011」(2011年5月25〜27日、東京ビッグサイト)で、空間を飛び交う電波から電力を回収して電子機器を駆動するデモを披露した(図1)。アンテナと整流回路を組み合わせたいわゆる「レクテナ」を使う。「ワイヤレス給電の方式の1つとして注目し、4〜5年にわたって研究開発に取り組んできた。レクテナ方式は、共鳴方式では難しい1対多の給電が可能な上に、電磁誘導方式とは異なり送電側と受電側の位置合わせが不要な点に特長がある」(同社の説明員)という。

 今回のデモでは、無線局の免許不要で電波を出力できる特定小電力の周波数帯を利用し、送信機から10mWの電波を出力した。それをレクテナで受けて直流電力に変換し、負荷として用意したLEDを点灯させたり、電卓を動作させたりしてみせていた。レクテナから取り出せる電圧は、送信機とレクテナの距離が30cmのときに、乾電池と同等の約1.5Vが得られるように設計した。取り出せる直流電力の大きさについては、「送信機とレクテナの距離によっても異なるが、数十cmのときにμWのオーダーだ」(同説明員)という。すなわち、電波と直流電力の変換効率は数%にとどまる。「アンテナと整流回路それぞれの効率を高めることで、将来的には10〜20%程度まで高められる可能性がある」(同説明員)。

図1 図1 電波から電力を取り出すデモの様子 送信機とレクテナを数十cm離して配置した。送信機の出力は10mW。これをレクテナで受けて直流電力を生成し、電卓を駆動してみせていた。

 用途としては、物流用RFIDタグへのワイヤレス給電や、産業用電子レンジなどの大電力マイクロ波を利用する装置における電力回生を提案する(図2)。ワイヤレス給電では、供給できる電力が現時点では前述の通りμWオーダーにとどまるので、「ボタン電池の置き換えを想定している。例えばボタン電池駆動のRFIDタグは、電池の寿命によってRFIDタグの寿命が決まってしまう。ワイヤレス給電を採用すれば、その制約をなくすことが可能だ」(同説明員)。この他、ワイヤレス給電では、センサーネットワーク端末にも適用できると説明した。

図2 図2 大電力の高周波を扱う装置で電力回生 マイクロ波加熱装置にレクテナを応用する際のイメージである。被加熱物からの反射波をアイソレータを介して取り込み、レクテナに供給して電力変換し、再利用する。出典:日本電業工作

 電力回生では、次のような使い方を提案した。「電子レンジでは、加熱用マイクロ波を被加熱物へ照射しても、いくらかは吸収されずに反射してしまう。これまではそれを抵抗体で吸収し、熱に変換して空間へ廃棄していた。このように無駄になっていた電波のエネルギーを、レクテナで電力に変換して電子レンジの中で再利用すれば、省エネルギー化が可能だ」(同説明員)。実際に同社はこの用途を想定し、アンテナで受けた2.5GHz帯の高周波電力を90%と高い効率で整流して出力可能な100W入力の整流器を開発済みである(図3)。これを活用すれば、産業用電子レンジなどで消費電力を最大40%削減できるという。

 受信周波数帯が異なるさまざまなレクテナを試作しており、顧客ごとの個別の仕様に合わせた設計に対応する。専用の送信機とレクテナを対にして使う他にも、地上デジタル放送が利用しているUHF帯の電波を電力に変換して使うことも可能だという。

図3 図3 2.45GHz帯の100W整流器 効率は90%と高い。

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