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HDTV/タブレット向けディスプレイ技術をSamsungが披露ディスプレイ技術

Samsung Electronicsは、10.1インチ型タブレットに使える高解像度の液晶パネルを披露した。「iPhone 4」に使われた高解像度ディスプレイ「Retina」よりもさらに解像度が高い。2011年後半にも同ディスプレイを搭載したタブレットが登場しそうだ。

» 2011年05月31日 22時12分 公開
[Nicolas Mokhoff,EE Times]

 Samsung Electronicsは、2010年5月15日〜20日に米カリフォルニア州ロサンゼルスで開催されたディスプレイ関連の国際学会、展示会「Society for Information Display 2011(SID 2011)」で、Nouvoyanceと共に開発したディスプレイ技術を搭載した超低消費電力のHDTVディスプレイと10.1インチ型タブレットを展示した。Nouvoyanceは、PenTile RGBW技術の開発者が所属するSamsung Electronicsの関連企業である。

 Samsung Electronicsは、SID 2011の最初のデモで、フレイムシーケンシャルカラー(FSC)技術と同社のPenTile技術、RGBローカルディミング技術*1)を搭載したテレビ向け液晶ディスプレイ(LCD)を披露した。同ディスプレイは、豊富な色彩を表現できるだけでなく、FSC技術の課題であった色割れ*2)の発生を実質的に無くし、消費電力を従来のLCDテレビの約25%に抑えられるという。

*1)編注:ディミング技術とは、LEDなどのバックライトを複数のエリアに分け、それぞれの発光を制御することで、階調表現を高める手法。

*2)編注:ユーザーの視線が画像を素早く横切ると、三原色が分かれて見える現象を色割れ(color breakup)と呼ぶ。FSC表示に特有の現象。

 Samsung Electronicsでシニア・バイスプレジデントを務めるソンテ・シン(Sungtae Shin)氏は、「バックライト技術やグローバルディミング、ローカルディミング技術の進歩と、当社が開発したPenTile RGBCWマルチプライマリLCD技術によって、今までにない高画質を提供する次世代HDTVを実現した」と述べる。PenTile RGBCWでは、一般的な液晶パネルに使われているR、G、Bの3つのサブピクセル以外にC(シアン)とW(白)のサブピクセルを追加している。

 同社はまた、PenTile RGBW技術を適用し、業界初となる超高精細の10.1インチ型WQXGA(2560画素×1600画素)液晶ディスプレイを披露した。タブレット向けである。現在市場に出ている最も解像度の高いスマートフォン向けディスプレイと同等の解像度を、タブレット市場で人気の10.1インチ型で初めて実現した。Samsung Electronicsは、同技術を搭載したタブレットを2011年後半にも発売する予定だという。

 Samsung ElectronicsとNouvoyanceは以前に、固定色フィルタとPenTile RGBCWの5色の色フィルタを使って、透明なサブピクセルで色を表現するFSC技術を統合したHDTVのデモを披露している。この手法では、PenTile RGBCW技術を適用した5色フィルタと連動して、2次元ディミング方式でRGB光を制御する。

 PenTile技術でいう「W」のサブピクセルは透明で、所定のディスプレイ領域内で必要に応じて、高速で順次点灯するR、G、Bのバックライトのうち発光させたい光だけを透過させる。透過させる光を各ゾーンで個別に選択することで、順次発光させた光が混ざりあって正しい色として認識される前に視線を動かしても色割れが起こりにくくした。

 デモでは、15.1インチ型LCDを使って、同技術を適用した静止画と動画の両方を披露した。バックライト用LCDの配列は816個×490個だ。Samsung Electronicsは、より解像度の高い大型のパネルを用意することも可能だとしている。

 同社は、300画素/インチ(dpi)のディスプレイを使ってタブレットのデモを披露した。300dpiディスプレイは、電子ブックやWeb、高精細映像、表計算ソフトの閲覧などに向く。高精細画像や明瞭なテキスト表示が要求されるアプリケーションに適しているといわれている。

 Nouvoyanceでエグゼクティブ・バイスプレジデントを務めるジョエル・ポラック(Joel Pollack)氏は、「ユーザーの求める形状と機能を備えたタブレットを開発するために、設計エンジニアは、消費電力を十分低く保ちつつ、最も解像度の高いディスプレイを実現する方法を決定しなければならない」と話す。液晶ディスプレイでは通常、解像度が上がると(開口率が下がって)消費電力が増えるため、明るさと電力効率が重要な要素となる。

 Samsung Electronicsのシン氏は、「当社のPenTileディスプレイ技術は、従来のRGBストライプLCDと比べて消費電力を40%に抑え、フルHD映像表示性能を2倍に高めることができる唯一の技術だ」と主張する。

 10.1インチ型タブレットのディスプレイ輝度は300cd/m2で、アウトドアモードでは最大600cd/m2で表示できる。

 ディスプレイの色再現範囲はNTSC比72%で、同55%である従来のRGBストライプタブレットディスプレイよりもリアルな色再現が可能だという。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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