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» 2011年06月06日 13時00分 UPDATE

水晶デバイス:小型・低電力の慣性計測ユニットをエプソンが製品化、「産業/工業分野で新たな用途を切り開く」

産業/工業機器に向けた競合他社の既存品に比べて、体積と消費電力がともに1/6程度と大幅に低く、重量も約1/3と軽いという。従来はサイズや消費電力が障壁になってIMUを組み込めなかった機器にも応用が広がると見込む。

[薩川格広,EE Times Japan]

 セイコーエプソンは、高い精度を確保しながらも市場の既存品に比べてサイズと消費電力を大幅に低減した慣性計測ユニット(IMU:Inertial Measurement Unit)「S4E5A0A0」を発売した。2011年7月にサンプル出荷を開始する。

 ジャイロ(角速度)センサーと加速度センサーをそれぞれ3軸(x/y/z)ずつ組み合わせ、信号処理を担うASICとともに単一のケースに納めた6軸のセンサーモジュールである。もともと100%子会社のエプソントヨコムが開発を進めていたもので、同社が「QMEMS」と呼ぶ独自の加工技術で製造する水晶センサー素子を使う。「産業/工業分野に向けた既存の慣性計測ユニットは、主にMEMS技術で実現されており、サイズと消費電力が比較的大きかった。今回、サイズと消費電力を大幅に低減したことで、従来はそれらが障壁になってIMUを組み込めなかった機器にも応用が広がる」(同社)(図1)。具体的には、航空写真や農薬散布に用いる無人航空機の振動補正や姿勢制御、大規模農場向け耕作機械のナビゲーションなどの用途を想定する。

図1 図1 産業/工業分野に焦点を定める 小型・低消費電力を訴求し、産業/工業分野で新たな用途の開拓を目指す。出典:セイコーエプソン

 外形寸法は24mm×24mm×10mmと小さく、重量は7gと軽い(図2)。消費電流は30mAに抑えた(3.3V駆動時)。セイコーエプソンによれば、競合他社が2010年11月に発表した既存のMEMS品に比べて、容積と消費電流がともに1/6程度と大幅に低く、重量も約1/3と軽い。「センサー素子自体の小型化に加えて、センサー素子の出力を処理するASICやソフトウェアを工夫することで、モジュール全体としての小型化と低消費電力化を実現した」(同社)という。

図2 図2 小型・軽量の慣性計測ユニット 外形寸法は24mm×24mm×10mm、重量は7gである。出典:セイコーエプソン

 測定範囲は、角速度が±300度/秒、加速度が±3g(gは重力加速度)である。測定結果は、モジュール内部でセンサー素子の検出結果にASICで補正処理と換算処理を施してから、SPI/UARTインタフェース経由でデジタルデータとして出力する。従ってユーザーは、独自に補正/換算処理を施すことなく、モジュールから読み取ったデータをホストマイコン上のアプリケーションソフトウェアでそのまま利用可能だ。

 測定の精度と安定度も確保した(図3図4)。角速度については、検出値の不規則な変動の量を示す指標「バイアス安定度」が6度/時間以下、電源導入時の初期精度の目安となる「初期0点バイアス偏差」が±0.5度/秒で、いずれも「競合他社の既存品の約1/2だ」(同社)という。また、検出値に含まれるホワイトノイズに起因する単位時間当たりの角度誤差を表す「角度ランダムウォーク」も0.24度/√時間(1σのとき)以下に抑えた。動作温度範囲は−20〜+70℃を保証する。

図3 図3 ジャイロセンサーのアラン分散特性 角度ランダムランダムウォークとバイアス安定度を読み取れる。出典:セイコーエプソン
図4 図4 加速度センサーのアラン分散特性 速度ランダムランダムウォークとバイアス安定度を読み取れる。出典:セイコーエプソン

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