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» 2011年07月25日 17時46分 UPDATE

TECHNO-FRONTIER 2011:「バスタレイド」に対抗する新メカニズムのノイズ抑制シート、旭化成せんいが初出品

電子機器の内部で発生する電磁的なノイズの対策に使う。同様のノイズ抑制シートとしては、NECトーキンの「バスタレイド」がよく知られているが、展示品はノイズを抑制するメカニズムが異なり、薄く軽量な上に広い周波数範囲にわたって効果が得られる点が特長だという。

[薩川格広,EE Times Japan]

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 旭化成せんいは、薄く軽量な上に広い周波数範囲にわたって効果が得られるノイズ抑制シート「PULSHUT(パルシャット)」を「TECHNO-FRONTIER 2011」(2011年7月20日〜22日、東京ビッグサイト)に出品した。昨年(2010年)の7月に発表していた製品だが(当時の報道発表資料)、展示会で一般に公開するのは今回が初めてだという。

図1 図1 旭化成せんいのノイズ抑制シート「パルシャット」 ノイズ抑制シート自体の厚みは0.05mmと薄い。これに0.1〜0.15mm程度の粘着シートを重ねて、ノイズを抑制したい部分に貼り付ける。

 電子機器の内部で発生する電磁的なノイズの対策に使う。ノイズ発生源に貼り付けて放射ノイズを抑制したり、周辺の回路やケーブルに貼り付けて伝導ノイズを低減したりすることが可能だ。電子機器の内部でノイズによって起きる誤動作(いわゆる自家中毒)を防止したり、電子機器の外部に不要な電磁波を放射させないようにする効果が期待できる。

 同様のノイズ抑制シートとしては、NECトーキンの「バスタレイド」がよく知られている。磁性材料をシート状に加工したもので、ノイズの原因になる高周波電流によって生じる磁界に対してシート中の磁性体がインピーダンスの抵抗成分(磁気損失)として働き、磁界成分を熱エネルギーに変換することでノイズを抑制する仕組みだ。

 これに対し旭化成せんいのパルシャットは、「使い方や効果については共通点があるものの、ノイズを抑制する仕組みは似て非なるものだ」(同社の説明員)と説明する。製造方法の詳細は明らかにしていないが、ポリエステルを材料とする不織布に独自の表面制御技術を適用するとともに、その不織布に導電性を持たせる特殊な加工を施しているという。すなわちバスタレイドとは異なり、磁性体は一切使用していない。磁界成分ではなく、電界成分に対する抵抗損失によってノイズを抑制する仕組みだ。「磁性体を利用するノイズ抑制シートは、透磁率(磁気の吸収特性の指標)が大きい品種で磁界成分を10dB程度抑える効果が望める。一方でパルシャットは、磁界成分の抑制効果は5dB程度にとどまるが、電界成分に対しては10〜15dBの効果が得られる」(同説明員)。

 磁性体を利用するノイズ抑制シートに対する優位性は、冒頭で述べた通り、薄く軽いシートで、広い周波数範囲にわたって抑制効果が得られる点だと主張する。「磁性体を使うシートでは一般に、磁性体の含有量を増やすことで抑制効果を高められる。ただしそうすれば、シートは比較的厚く重くなってしまう」(同説明員)。これに対しパルシャットは、0.05mmと薄く、1m2当たり45gと軽いシートで、MHz帯からGHz帯までの広い周波数範囲で抑制効果が得られるという。

 例えば、ノイズの損失率(0.00〜1.00に正規化しており、0.00で全反射、1.00で全吸収。1.00に近い方が抑制効果が高い)は、地上デジタル放送の500MHz帯で0.66、タブレットPC用プロセッサの動作周波数である1GHz帯で0.76、3G携帯電話やノートPC用プロセッサの2GHz帯で0.85、無線LANの2.5GHz帯で0.88が得られる(いずれも代表値であり、保証値ではない)。「電子機器で使うプロセッサの動作周波数が向上している上、EMI(電磁放射雑音)規制の見直しで対象周波数範囲が広がっている。これらに対応する必要がある現代のノイズ対策に適した製品だ」(同説明員)。この他、パルシャットは磁性体を使っていないことから、携帯型機器に搭載が進む電子コンパスの周辺に使用しても、その動作に影響を与えないという点も訴求している。

図2図3 左図は、パルシャットのノイズ抑制効果を高周波ネットワークアナライザで評価した結果である。数百MHzから10GHzにわたって、高い抑制効果が得られていることが読み取れる。旭化成せんいによると、磁性体を使う他社製の抑制シートでは、抑制効果が得られる周波数帯域が比較的狭く、帯域ごとに異なる品種を用意して対応しているという。右図には、評価用の基板を使って、磁界成分と電界成分それぞれに対する抑制効果を電磁波測定装置で解析した結果を示した。

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