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» 2011年09月08日 16時20分 UPDATE

ビジネスニュース:太陽光パネルメーカーのSolyndraが破産申請、中国勢との競争激化が原因か

米太陽電池パネルメーカーのSolyndraが倒産した。米政府やベンチャーキャピタルから多額の融資を受けていた有望企業だったが、激化する中国メーカーとの競争に持ちこたえることはできなかった。

[Rick Merritt,EE Times]

 米国の太陽光発電パネルメーカーであるSolyndraは2011年8月、米国連邦倒産法第11章(チャプター11)の適用を申請する計画を発表した。同社はその革新的な太陽光発電技術で広く知られており、巨大な製造工場はシリコンバレーを走るハイウェイI-880のランドマーク的な存在でもあった。破綻の背景には、製品価格の下落や経済の不況に加え、中国メーカーとの競争が激化したことにもあるようだ。

 Solyndraは、太陽光発電市場で主流となっているシリコン系の太陽電池ではなく、化合物系の太陽電池を手掛けている。代表的な製品は、CIGS(銅、インジウム、ガリウム、セレン)を発電層に使用した薄膜太陽光発電モジュールだ。同社が破綻したのは、これらの技術/製品に問題があったからではない。しかし中には、「Solyndraの倒産によって恐れをなした投資家が、非シリコン系の太陽光発電技術を支持しなくなるのではないか」との懸念を示す業界関係者もいるという。

 米国の市場調査会社であるNavigant Consultingで太陽光発電部門の主席アナリストを務めるPaula Mints氏は、「Solyndraの倒産は、太陽光発電業界にとって大きな打撃となるだろう。残念なことに、たった1つこのようなニュースがあるだけで、非シリコン系の技術に対する不信感が広がってしまう恐れがある」と述べている。

 繰り返しになるが、Solyndraの技術やCIGS薄膜太陽電池に何らかの欠陥があるわけではない。実際、同社は、米政府やベンチャーキャピタルから多額の資金提供を受けており、有望視されていたことが分かる。一方で中国の投資家は、現在の主流であるシリコン結晶系太陽電池に巨額の投資を行っている。

 2010年に出荷された太陽電池パネルは、その多くがシリコン結晶系の技術を用いたものだ。さらに、出荷されたパネルのうち54%を中国もしくは台湾メーカー製が占めている。2011年には、その数値が60%に上がる見込みだという。中国メーカーは太陽電池パネルの低価格化を積極的に進めており、2010年には、1W当たり1.20米ドルのパネルを販売した。これは、Solyndraの製造コストを下回る価格である。

 Mints氏は、「これは、業界にとって健全な状況ではない。粗利益率が低すぎるためだ」と述べる。同氏によれば、CIGS太陽電池の製造工程は、結晶系よりもはるかに複雑で難しい上に、いまだに標準化が進んでいない状態だという。Mints氏は、「政府からの補助金を利用して太陽電池パネルを設置するケースも多いので、パネルの価格だけが市場を左右する要因にはならない。それでも、販売価格が市場にとって非常に重要な要素であることは間違いない」と続けた。

 Solyndraの主力製品は、円筒型の太陽光発電モジュールである(図1)。住宅や企業の屋根に簡単に設置できるというものだ。しかし現在は、太陽電池パネルの大半が公共施設向けに出荷されているため、コストが低い従来の平面型パネルが好まれる傾向があるという。

ALT 図1 Solyndraの円筒型太陽電池モジュール「200 Series-7」 容易に屋根に取り付けられるという。

 San Jose Mercury News誌の記事には、「Solyndraは、海外の大手競合メーカーとの競争についていけなかった」と分析したコメントが掲載されている。さらに同誌によると、Solyndraは、約1100人の従業員を解雇する予定だという。

 Solyndraはこれまでに、ベンチャーキャピタルから10億米ドル以上を調達したと報じられている。さらに、米エネルギー省(DOE:Department of Energy)からは5億3500万米ドルの融資保証も受けていた。バラク・オバマ米大統領も2010年にSolyndraのフリーモント工場を視察しており、同社は「米国の革新的なクリーンテクノロジの拠点である」と述べたという(図2)。

ALT 図2 Solyndraの製造工場 シリコンバレーを走るハイウェイのランドマーク的な存在だった。

 2011年8月は、米国の太陽光発電メーカーの破綻が目立った。Solyndraの前には、Intelからスピンオフして設立された太陽電池メーカーSpectrawattと、Evergreen Solarが相次いで倒産している(関連記事1関連記事2)。

【翻訳:青山麻由子、田中留美、編集:EE Times Japan】

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