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LEDの強みとこだわり――ロームが目指すLED照明事業LED/発光デバイス LED照明(1/2 ページ)

電力不足や高まる環境意識を背景にマーケットを拡大するLED照明。ロームは、長年培ってきたLEDランプ・モジュールの技術力を武器に、この成長市場へ攻勢をかける。同社モジュール・ライティング生産本部の四方秀明統括部長に、“ロームLED”の強みとこだわりを聞いた。

» 2011年10月04日 06時00分 公開
[齊藤徹也,EE Times Japan]

 ロームは、全社成長戦略の1つである「LED事業の拡大」を一段と加速させるため、LED照明で攻勢をかける。総合電機大手はもちろん、照明専業、異業種、さらにはストアブランドまで、この成長市場に参入するメーカー・商社は引きも切らないが、ロームは約40年間培ってきたLEDランプ・モジュールの技術力を背景に、最終製品であるLED照明器具分野においても一定のポジションを確立する方針だ。同社モジュール・ライティング生産本部の四方秀明統括部長に、LEDの強みとこだわりについて聞いた。


photo ローム モジュール・ライティング生産本部の四方秀明統括部長

 ロームが目指すLED照明について、四方統括部長は「発想はリピート注文をもらうこと。1回限りの売り切りビジネスをやるつもりはない」と明言する。この発言の裏には、実は一般にはあまり知られていないLED照明業界の実態が隠されている。

 環境意識の高まりに加え、東日本大震災・福島原発事故に伴う電力不足から、LED照明は急成長を遂げている。その光源であるLEDは、従来型の各種白熱ランプ(一般用白熱電球、ハロゲンランプなど)や各種放電ランプ(一般蛍光灯、HIDランプなど)に比べて大幅な省電力化と長寿命化を実現できることが最大の特徴。さらにLED光源のコンパクトさというメリットを生かせば、照明器具の小型化・薄型化にも貢献することができる。こうした特徴から、現在では業務用から一般家庭用まで、LED照明が幅広く使用されるようになってきた。

 日本電球工業会の自主統計によると、今年2011年7月度の電球型LEDランプ(LED電球)の出荷数量は約300万個で、前年比3倍強。これに対し一般用白熱電球は約400万個で前年比47%減とほぼ半減、一般用白熱電球に代わる省エネタイプとしてこれまで業界が普及を進めてきた電球型蛍光ランプも約230万個で同18%減にとどまった。国内の電球市場が、急激にLEDシフトしていることがよく分かる数字だ。市場が拡大すれば、参入しようとする企業も増える。自社に技術や製造工場がなければ、アウトソーシングしてでも品ぞろえしようとする企業が現れるのも自然の成り行き。ここで“品質”の問題が出てくる。

 実は、家電量販店やスーパーマーケットなどで売られている「LED電球」の品質は千差万別なのだ。電球に求められる性能は消費電力、寿命、外形・口金サイズ、明るさ(光束量)、演色性、光の広がり方(配光性能)、安全性など多岐にわたるが、光源にLEDを使用していれば「LED電球」を名乗ることができるため、なかには「白熱電球に比べて、確かに消費電力は少ないが、明るさや演色性は大きく劣り、明るいのは直下だけ、寿命も若干上回る程度」という商品すらある。悪く解釈すれば、低コストを追求しようと思えばいくらでも「手抜き」ができる、ということだ。競争激化の副産物と言えるかもしれない。

 この問題については、日本電球工業会もレポート「電球型LEDランプ購入調査報告書(PDF参照)」の中で『メーカー間の性能差が極めて大きいこと、公表値と実測値に乖離(かいり)がある製品が見受けられるなどの課題がある。(中略)総合的に見た場合、省エネルギー性能においては既に十分なレベルに達していると評価できるが、全光束、演色性能、配光特性、外形などにおいて代替光源として不十分なところも残っている状況にある』と指摘している。

 こうした市場の実態について、四方統括部長は「今までLED電球を使ったことがないユーザーが、家じゅうの電球をいっぺんにLEDに換えるケースはほとんどないはず。まず試しに買ってみたLED電球が品質の悪いものであった場合は、メリットを実感できずLED電球自体の評価が下がる、他の器具でのLED化が遅れる、といったことが起きるだろう。また安全性の不十分な製品で事故が起きれば業界全体のイメージダウンになってしまう」と、大きな危惧を持っている。

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