次に紹介するのは、向かい合った2つの電極の電界結合によって電力を送る「電界結合方式」。特徴は、消費電力が異なる複数の機器の共存や、ワイヤレス給電台の大面積化が容易であること、デザイン性に優れていることなど。2010年7月に、村田製作所がこの方式を採用したワイヤレス給電システムの事業化を目指していることを明かにした。
2011年9月には、日立マクセルが2011年11月25日発売予定のiPad2向けワイヤレス給電セットにこの方式を採用することを表明するなど、「ここ1年で実用段階にまで技術開発が進んだ」(村田製作所)という。
→「ぽんと置いてiPad2を手軽に充電」、村田製作所がワイヤレス給電モジュールを製品化
→iPad向けを目下開発中、村田が電界結合方式のワイヤレス給電を事業化(前編)
→iPad向けを目下開発中、村田が電界結合方式のワイヤレス給電を事業化(後編)
現在村田製作所が製品化しているのは、出力電力が最大13Wの送電側モジュールおよび、受電側モジュール。同社の開発者は、「このモジュールを開発するに当たって、電磁界の漏えいを抑えたり、電界を電極間に閉じこめたりといったノウハウを蓄積した。各種の防護指針や安全性を守りつつ、出力電力を50W程度まで高められる感触を持っている」と高出力化にも自信をみせる。
電界結合方式の普及に向けては、この方式を採用して技術開発や製品開発を進める企業が少ないという課題もある。CEATEC JAPAN 2011でも、製品段階の試作品を展示したのは村田製作所のみだった。「協力企業を募り、仲間作りを進めていきたい。現在、異なる企業間のワイヤレス給電機器の相互接続を意識した技術開発を検討している」(同社)という。それでは、CEATEC JAPAN 2011でどのような展示があったのか紹介しよう。
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