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3G通信/低消費無線/加速度センサー、パイオニアの自転車ナビを支えた技術センシング技術

パイオニアのポタナビは、「もっと自由に自転車を楽しむ」をコンセプトにしたナビゲーション機器だ。各種センサーや無線通信機能によって、これまでにない新たなナビゲーションを提案している。

» 2011年10月25日 18時15分 公開
[前川慎光,EE Times Japan]

 センシングやワイヤレスといったエレクトロニクスの要素技術によって、実環境の情報とインターネットサービスを連携させる――。そんな新たなカテゴリの製品が、ヘルスケアやスポーツなどの分野を中心に続々と製品化されている。

 パイオニアが2011年10月25日に発表した自転車専用ナビゲーション機器「ポタナビ(PotterNavi)」もその1つだ。60×90×18mmの筐体に、低消費電力の近距離通信規格「ANT+」に対応した通信モジュールや、NTTドコモの3G通信モジュール、アンテナ一体型GPSモジュール、加速度センサーを詰め込んだ。

 10月25日に同社が開催した報道機関向け製品説明会に登壇した同社代表取締役社長の小谷進氏は、「カーナビの延長線として開発された自転車向けナビゲーション機器や、自転車のスピードや回転数を測定するだけのセンサーとは大きく異なる、新たなコンセプトの製品だ」と、ポタナビの新規性を説明した。2012年2月に発売する予定で、想定価格は4万円、2012年度に10万台、2015年度に100万台の販売を目標にする。

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パイオニアが2011年10月25日に発表した自転車専用ナビゲーション機器「ポタナビ(PotterNavi)」。「もっと自由に自転車を楽しむ」をコンセプトにした製品だ。右の写真のハンドル中央部に取り付けてあるのが、ポタナビ。

測定データをWebサイトと自動連携

 ポタナビには、自転車で散策したり、寄り道をしたりといった「自転車でぶらぶらすること(Pottering)」を支援する、単なるナビゲーション以外の機能が多く搭載されていることが特徴だ。例えば、「時間を決めて散策したい」、「夕方には帰宅したい」といった要望に合わせて、地図上に往復可能な範囲を表示する機能や、自転車周辺にある観光地などを検索する機能、スピードや回転数といった計測データや走行軌跡をサイクルナビ用Webサイト「サイクルラボ」に自動で連携させるといった機能である。

 これらの機能を実現しているのが、前述のセンサーや無線通信機能だ。GPSモジュールから得た情報で、現在位置を把握する他、自転車が進んでいる方角や自転車のスピードを算出する。加速度センサーは、機器を傾けて表示画面をスクロールするといったユーザーインタフェースの実現や、GPSの測位精度を高める役割を担う。また、NTTドコモの3G通信回線を使って、インターネット上のサーバからデータをダウンロードしたり、スピードや回転数といった計測データをアップロードする。

ポタナビの主な機能。自転車専用のナビゲーション機能や、測定したデータをサイクルナビ用Webサイト「サイクルラボ」と連携させる機能を用意した。

図 パイオニアの自転車専用ナビゲーション機器に搭載したセンサーや無線通信モジュールの一覧

 この他、自転車本体に取り付けたケイデンス(回転数)センサーとポタナビを無線でつなぐのが、ANT+通信機能である(関連記事)。オプションとして、心拍センサーやスピードセンサー、ペダルを踏み込む力を測定するパワーセンサーを用意しており、ANT+通信によってポタナビの機能をさらに拡張することが可能だ。

 同社は現在、競技者向けの自転車を対象にしたサイクルコンピュータや、効果的なペダリングを実現するためのトレーニング用センサーの開発も進めている。これらの機器でも、各種のセンサーが活躍している。例えば、サイクルコンピュータには、GPSモジュールや気圧計、温度計といったセンサーを搭載している他、ペタリングをモニタリングする専用センサーや、ANT+通信対応の各種センサーとの連携も可能である。

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