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半導体業界の低迷は底打ち、今後は回復段階にビジネスニュース 業界動向

長く続いた低迷期から、ようやく抜け出せる兆しが出てきたようだ。アナリストは、「半導体業界は、2011年第4四半期から2012年第1四半期にかけて回復のステップをたどる」と予測する。

» 2011年11月09日 09時51分 公開
[Dylan McGrath,EE Times]

 「半導体業界の低迷は底を打ち、回復の『フェーズ1(第1段階)』が始まった」。米国の投資銀行であるJP Morganでアナリストを務めるChristopher Danely氏は、2011年11月3日に発表した報告書でこのように述べた。

 Danely氏は、「半導体業界の決算発表から、経済指標(ファンダメンタルズ)や株価は底を打ったことが明らかになった。さらに、半導体企業と半導体販売業者数社は、受注は底を打ったとしている」と報告した。

 また、同氏は、「半導体業界の受注は安定傾向にあり、現在は回復のフェーズ1にあると考えている」という。

 JP Morganは半導体業界に対して明るい見通しを示しているが、Danely氏も同様の見解を示し、半導体株の継続的な買いを推奨している。同氏は、「経済指標の底打ち感が高まりつつあり、証券アナリストが2012年前半の半導体企業の予測を修正する可能性が増している」と述べている。

 Danely氏は、「Fairchild Semiconductor InternationalやTexas Instruments(TI)、Arrow Electronicsを含む、半導体企業や半導体販売業者数社は、過去数週間で受注率は底を打った感があると述べている。Arrow Electronicsは、半導体メーカーの受注は2012年第1四半期に回復し、2012年第2四半期に、より堅調になると予測している」と報告した。

 米国半導体工業会(SIA:Semiconductor Industry Association)が報告した半導体売上高のデータと、各半導体メーカーが発表した2011年第4四半期の売上高見込みから、2011年後半の半導体出荷数は横ばい、あるいは減少となる見通しだ。Danely氏は、「これは、15%の成長を見込むPCや8%の成長率を予想する携帯電話機を大きく下回っている」としながらも、「在庫の補充によって最終需要が安定すれば、2012年第1四半期における半導体の受注率は上昇する」と述べている。

 Danely氏は、回復の「フェーズ2」は2011年第4四半期の後半に始まるとしている。フェーズ2は、半導体企業が予測の下方修正をやめる時を指すという。「受注が安定しており、在庫が減少傾向にあることから、フェーズ2は今から2011年の終わりにかけて始まるとみられる」(同氏)。

 また、「フェーズ3」は2012年第1四半期に始まるとしている。フェーズ3は、需要が安定して在庫の補充が必要になり、半導体企業数社が受注率の上昇を報告した時と定義される。

 さらに、2012年第1四半期の後半には、半導体業界は「フェーズ4」に入るとみられている。フェーズ4は、受注率の継続的な上昇を受け、半導体企業が予測を上方修正する段階を指す。Danely氏は、「2012年第1四半期にはコンセンサス予想が上昇し、半導体企業が予測を上方修正するだろう」と述べた。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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