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» 2011年12月07日 08時00分 UPDATE

エネルギー技術 エネルギーハーベスティング:環境発電の導入促す風穴となるか、大手建設会社が積極採用を表明 (1/2)

戸田建設と村田製作所は協業し、エネルギーハーベスティングの実証を進める。エネルギーハーベスティングが急速に普及しつつある欧州や米国とは対照的に、日本では採用がほとんど進んでいない。両社の取り組みによって、日本国内の様子見の雰囲気が変わる可能性がある。

[前川慎光,EE Times Japan]

  準大手ゼネコンの戸田建設は、エネルギーハーベスティング(環境発電)技術を採用することで、内蔵電池や配線作業を不要にした照明制御スイッチシステムの実証実験を始めた。村田製作所が試作したスイッチシステムを採用しており、3〜6カ月の実証を通して実用化に向けた課題を洗い出す。戸田建設は、エネルギーハーベスティングを採用した照明制御システムの営業活動を2012年早々に開始する予定である。

 報道機関向け説明会に登壇した戸田建設の本社生産施設営業・エンジニアリング部担当執行役員である稲垣秀雄氏は、「エネルギーハーベスティング技術を使うことで、空調や照明を制御するスイッチの配線作業を不要にできるのは画期的だ。大化けし、広く普及すると期待している」と語った(関連記事普及間近の環境発電、センサーとの融合で省エネと快適を両立へ)。

図 戸田建設の本社生産施設営業・エンジニアリング部担当執行役員である稲垣秀雄氏

両社の思惑がかみ合う

 エネルギーハーベスティング技術とは、普段意識されていない微弱なエネルギーを、有用な電力源として抽出する技術である。例えば、今回の実証実験では、人がスイッチを押した力をエネルギー源として抽出し、スイッチから照明器具に制御信号を無線で飛ばす動力源にする。前述の通り、スイッチと制御対象機器を結ぶ配線や、制御信号を無線で飛ばすための電池を不要にできる特徴がある。

図 戸田建設のオフィスで実証実験を始めた照明制御の無線スイッチシステム 人がスイッチを押した力をエネルギーとして抽出するハーベスタと、照明器具に制御信号を送る無線通信モジュールで構成している。

 戸田建設と村田製作所の協業は、両社の思惑がかみ合うことで実現した。まず戸田建設は、リニューアル工事を営業するときの売り文句にエネルギーハーベスティング技術を採用した無線スイッチステムを使う。

 同社は、新築物件の減少を背景に、建築完工費に占めるリニューアル工事の割合を現在の15〜16%から25%にまで高めることを目標にしており、「リニューアル工事を受注するための切り札をいろいろと探している中で、エネルギーハーベスティング技術を採用した無線スイッチステムに注目した。これを営業活動の武器にしたい」(同社)という。エネルギーハーベスティング技術を採用した無線スイッチステムには、配線作業が不要であるため工事期間を短縮できることや、工事途中で設計変更があったとしてもすぐに対応できるというメリットがある。

図 無線スイッチシステムの構成図 照明制御スイッチが押されたという情報を、EnOceanの独自の無線通信方式を使って、照明制御の親機に送る。親機と照明器具はZigBeeで接続する。スイッチと照明器具の間にZigBeeに対応した親機を挿入した理由は、1つのスイッチで複数の照明器具を一括で制御したり、複数の照明器具を連携して動作させることを想定しているためである。
sm_201112murata-toda5.jpgsm_201112murata-toda4.jpg スイッチの替わりに人感センサーを使って照明を制御するシステム(左図)や、複数の照明器具間で連携したり、窓やブラインドと空調設備を連携させたシステム(右図)も検討している(クリックすると拡大します)。

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