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» 2011年12月14日 07時30分 UPDATE

マイクロウェーブ展2011 無線通信技術:GaNデバイスのバリエーション広がる、高周波スイッチICが登場

GaN(窒化ガリウム)の高周波分野の応用としては、既に大電力増幅用のFETが製品化されており、従来の電子管やGaAs FET、Si LDMOSを置き換えるデバイスとして存在感が高まっている。GaN利用の集積回路の開発も進んでおり、住友電気工業は高周波信号の経路切り替えに使うスイッチを製品化する。

[薩川格広,EE Times Japan]

 住友電気工業は、GaN(窒化ガリウム)材料を使う高周波スイッチICを開発し、高周波技術関連の展示会「マイクロウェーブ展 2011」(2011年11月30日〜12月2日、パシフィコ横浜で開催)に出品した。無線通信の基地局をはじめとした、大電力の高周波信号を扱う機器において、信号経路を切り替える用途に使える。エンジニアリングサンプル品の提供を2011年の第4四半期に始め、2012年の第2四半期にコマーシャルサンプル品の出荷を開始する予定だ。

図1 図1 GaN材料の高周波スイッチIC 4×4×0.8mmのQFNパッケージ封止である。

 現在、大電力の高周波信号の経路切り替えには、主にSi(シリコン)材料を使うPINダイオードやGaAs(ガリウム・ヒ素)を用いたFETが使われている。いずれも成熟した技術と材料で製造されており、価格もこなれている。

 ただし住友電気工業によれば、PINダイオードを使う場合は、外付けに大電力の駆動回路が必要な上、狭い周波数帯域でしか特性を確保できない。そのため広帯域の信号を扱う際には、複数の帯域幅に分割して個別にPINダイオード回路を用意しなければならず、部品点数が増えてしまうことに加えて、部品実装後の高周波特性の調整作業に手間が掛かっていた。GaAs FETは比較的広い動作帯域幅を確保でき、周辺回路もシンプルで済むので、こうした課題は回避できる。しかし耐圧が比較的低く、取り扱える信号の電力は最大でも30Wにとどまっていたという。

 これに対しGaN材料のスイッチICでは、「GaAs FETの利点はそのままに、PINダイオード並みの大電力信号を扱える」(同社)ことが特徴だ。価格については、GaN材料はまだ利用の歴史が浅くウエハー自体のコストが高いため、「PINダイオードのような低い価格では、とても提供できない」(同社)とする。ただし、GaNスイッチICを使えば、「周辺回路を簡略化でき、部品点数も少なく済む上に、調整の工数も省ける。部品単体の価格差を補って余りあるメリットが得られる」(同社)と主張した。

 現在のところ、SPDT(単極双投)タイプで、取り扱える信号電力が25W、50Wと異なる2品種を用意している。例えば50W品の高周波特性は、最大2.0GHzまでの範囲で、挿入損失が0.4dB以下、絶縁特性(アイソレーション)が28dB以上である。外形寸法が4×4×0.8mmのQFNパッケージに封止した。同社によれば、多極多投化も可能だという。

図2 図2 GaNスイッチICの展示パネル 3つのグラフはいずれも50W品の特性で、パワーハンドリング(電力飽和特性)、挿入損失、絶縁特性を示している。(クリックで拡大)

 なお住友電気工業は、富士通との折半出資会社として2004年4月にユーディナデバイスを設立し、化合物半導体デバイス事業を手掛けてきた。その後、2009年4月にユーディナデバイスを100%子会社化。同年8月に吸収分割を実施し、ユーディナデバイスから営業/企画/研究の業務を継承するとともに、ユーディナデバイスの社名を住友電工デバイス・イノベーションに変更した。

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