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安川電機のEV用モーターはフェライトで脱レアアース、2012年11月にサンプル出荷カーエレ展/EV・HEV展

安川電機は、レアアースが不要なEV用モーターとして、永久磁石の替わりにフェライト磁石を用いるモーターを開発中だ。2012年11月にはサンプルを出荷できる見込み。

» 2012年01月20日 18時05分 公開
[朴尚洙,EE Times Japan]

 「第4回国際カーエレクトロニクス技術展(カーエレ展)/第3回EV・HEV駆動システム技術展(EV・HEV展)」(2012年1月18〜20日、東京ビッグサイト)では、日本電産が出展した、レアアースを用いないSR(Switched Reluctance)モーターが話題になっている(関連記事)。同展示会に参加している安川電機も、レアアースが不要の電気自動車(EV)用モーターを開発していることを明らかにした。

 現在量産されているEVやハイブリッド車(HEV)の走行用モーターは、強い磁力を持つ永久磁石を使用している。永久磁石に強い磁力を付与するのに必要なのが、ネオジムやジスプロシウムなどのレアアースである。ネオジムとジスプロシウムの国際価格は現在、中国の輸出規制により、2010年と比べて5〜10倍に高騰している。このため、永久磁石を使わない、すなわちレアアースを使わないモーターの開発に注目が集まっているのだ。

 安川電機が開発中のEV用モーターは、永久磁石の替わりにフェライト磁石を用いる。フェライト磁石は、永久磁石と比べて単位体積当たりの磁力が小さいものの、主成分が酸化鉄なので安価である。しかし、フェライト磁石を用いたモーターは、磁力が小さいこともあって、同じ出力の永久磁石モーターよりもひと回りサイズが大きくなってしまうという課題がある。同社によれば、「巻き線の密度を高めるなどの対策によって、永久磁石モーターと同出力/同サイズのフェライト磁石モーターを実用化できるめどが立った」という。

 同社のフェライト磁石モーターは、出力が80〜120kWのEV用電動システム「QMET-II」(図1)のモーターとして提供する。2012年11月にはサンプルを出荷できる見込みだ。また、製造装置などの産業用機器向けに販売しているサーボモーターにも、フェライト磁石モーターを適用する計画である。

図1 安川電機のEV用電動システム「QMET-II」 図1 安川電機のEV用電動システム「QMET-II」 80〜120kWの出力が必要なEV向けとなっている。QMET-IIは、2009年6月に発表した「QMET」と比べて、容積を24%、重量を43%低減している。

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