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» 2012年02月15日 15時05分 UPDATE

ビジネスニュース 企業動向:アナログIC大手のIntersilは10分野に注力、「研究開発投資の80%を集中」

Intersilは、今後の成長を目指すために注力する10の製品分野を決定した。これら10分野の製品は、アナログ/ミックスドシグナルIC市場のうち、2010〜2015年の年平均成長率で17.5%と特に高い成長が期待できるアプリケーション領域に向けられている。

[朴尚洙,EE Times Japan]

 大手アナログICベンダーのIntersil(インターシル)は2012年2月14日、東京都内で記者会見を開き、今後注力する10の製品分野について説明した。10の製品分野としては、デジタル電源用制御IC、デジタル電源モジュール、ピコプロジェクタ用チップセット、車載システム用IC、アクティブケーブル用IC、DC-DCコンバータ用IC、光学センサー、オーディオ用IC、PC向け電源管理IC、監視カメラ用ICを挙げている。

 同社社長兼CEOのDavid B. Bell氏は、「現在成長している市場の分析、競争優位性を持っている自社の技術、潜在的な成長可能性を示すメガトレンド。これら3点を考慮した上で注力する製品分野を決定した。現在、研究開発投資の80%をこれら10の製品分野に集中的に注いでいる」と語る。

IntersilのDavid B. Bell氏 IntersilのDavid B. Bell氏

 IHS iSuppliの調査によれば、Intersilが扱うアナログIC/ミックスドシグナルICの市場規模は、2010年時点で全世界で約3000億米ドル。そして、2010〜2015年までの間に、6.0%の年平均成長率(CAGR)で拡大すると予測されている。Intersilはまず、同市場のアプリケーション領域の中から、この6.0%を上回る成長が見込まれている領域に注目した。年平均成長率が115.5%に達する第4世代携帯電話機を筆頭に、同48.4%のタブレット端末、同8.9%の車載システム(車載情報機器と安全システムのみ。駆動系は含まない)、同8.4%の液晶テレビ、同7.2%のゲーム機、同6.7%の第3世代携帯電話機の6つの領域である。これらの領域に限定すると、アナログIC/ミックスドシグナルIC市場の年平均成長率は17.5%で、同市場全体に占める売り上げ規模の比率も、2010年の18%から2015年には30%まで高まる。同社が選んだ10の製品分野は、これら6つのアプリケーション領域に属しているわけだ。

2010〜2015年までのアナログIC/ミックスドシグナルICの市場動向とIntersilが注目する6つのアプリケーション領域の市場規模Intersilが注力する10の製品分野 左の図は、2010〜2015年までのアナログIC/ミックスドシグナルICの市場動向とIntersilが注目する6つのアプリケーション領域の市場規模。右の図は、Intersilが注力する10の製品分野である。

 同社が注力する10の製品分野の概要は以下の通りである。

 デジタル電源用制御ICは、サーバ機や基地局などインフラ系設備向けに展開している。2008年に買収したZilker Labsの製品が中核となっている。同じくZilker Labsブランドのデジタル電源モジュールは、デジタル電源に必要な制御ICやパワーMOSFET、個別部品などを1つのパッケージにまとめた製品だ。Bell氏は、「常に話題に上っていたデジタル電源だが、米国市場では本格的な採用が始まっている。日本市場はまだデジタル電源の採用に前向きとは言えないが、その有用性を理解してもらえるように提案活動を強化する」という方針を示した。

 スマートフォンなどに組み込んで利用するピコプロジェクタについては、市場調査会社のリポートを引用しながら、「市場全体では、2011年の1年間で300万セットが出荷された。2015年には約19倍となる5800万セットが出荷されと見込んでいる」(Bell氏)と述べた。同社が提供するチップセットも技術的に進化しており、「『International CES』の展示で比較すると、2011年は輝度が6lm(ルーメン)だったが、2012年には12lmまで向上した。フルHD(高品位)映像の表示も可能になっている」(同氏)とアピールした。

 車載システムでは、液晶ディスプレイコントローラICや2008年に買収したD2AudioのオーディオIC、電源管理ICといった、Intersilの技術を生かせる車載情報機器向けの展開を強化する。また、電気自動車やハイブリッド車に搭載されているリチウムイオン電池パックの各電池セルの充電状態を監視するセルバランスIC(関連記事)は、量産車への採用が決定している。

 アクティブケーブルとは、銅線ベースでも高いデータ伝送速度を実現できるようにコネクタ部に波形補正用ICを組み込んだ通信ケーブルのことである。Intersilは、こうしたアクティブケーブル向けに、2009年に買収したQuellanの製品を展開している。Bell氏は、「10年前に登場したUSBは伝送速度が10Mビット/秒だった。これに対して、2011年にIntelが発表したThunderboltは20Gビット/秒まで高速化している。今後も伝送速度の向上は続くだろうが、銅線のケーブルではノイズの問題などで限界を迎えてしまう。アクティブケーブルはこの限界を克服する技術だ」と強調する。

 DC-DCコンバータ用ICについては、制御回路とパワーMOSFETを統合するなど、高集積の製品を展開している。今後も積層パッケージ技術の採用により集積度を高める方針だ。また、コイルを小型化できるようにスイッチング周波数の向上にも取り組んでいる。

 光学センサーは、シリコンフォトダイオードをベースにした照度センサーや近接センサーを提供している。これらの他、2m程度までの距離を認識できる近接センサーも製品ラインアップに加えた。「スマートフォンやタブレット端末で非接触のジェスチャ認識を実現するのに、当社の光学センサーが役立つ」(同氏)という。

 オーディオ用ICは、前述したD2Audioの製品が中核となっている。液晶テレビの音質向上に加えて、音質の低い液晶テレビに後付けするサウンドバーというスピーカ製品の需要に期待している。

 PC向け電源管理ICは、ノートPC向けで既に70%のシェアを獲得しているとした。今後もIntelが提唱する「Ultrabook」やタブレット端末など、異なるフォームファクタ向けに最適化した製品を投入していく。

 監視カメラ用ICは、2010年に買収したTechwellのビデオデコーダICが高シェアを獲得している市場だ。Intersilは、現行のSD(標準品位)カメラを接続するのに用いている同軸ケーブルを変更せずに、HDカメラへの置き換えを可能にするSLOC(Security Link over Coax)といった新たな技術で製品力の強化を図っている。

インターシルの和島正幸氏 日本法人の社長を務める和島正幸氏

 会見では、日本法人であるインターシルの社長に就任した和島正幸氏も登壇した。和島氏は、「2011年のIntersil全社の売上高は7億6100万米ドルだった。将来的には、この数字を10億米ドルまで伸ばすことが目標となっている。現時点で日本向けの売上高は全社の約10%を占めるにすぎない。しかし、Intersilの売上高が10億米ドルに到達する際には、アナログIC/ミックスドシグナルICの全世界の売り上げ規模に占める日本市場の割合、すなわち15〜17%を上回るレベルまで、日本法人の比率を高めたい」と述べている。

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