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» 2012年02月17日 23時10分 UPDATE

ビジネスニュース 業界動向:国内3社のシステムLSI事業統合、「言うは易く行うは難し」 (1/2)

ルネサス、富士通、パナソニックによるシステムLSI事業統合の報道から1週間が過ぎた。この3社が統合に向けて動き出した引き金は何だったのか。そして、もはや既定路線のように見える事業統合は成功するのだろうか。

[朴尚洙,EE Times Japan]

 「ルネサス エレクトロニクス、富士通セミコンダクター、パナソニックがシステムLSI事業を統合へ」――2012年2月8日の日本経済新聞の報道が半導体業界を駆け巡った。3社のシステムLSIの設計部門を、産業革新機構が出資する設計を専門に行う新会社に統合する一方で、製造部門の運営を、産業革新機構とGLOBALFOUNDRIESが設立する新会社に移管するというものである。2012年3月末までに事業統合の基本合意を目指していることから、関連する企業――親会社であるNEC、日立製作所、三菱電機、富士通、そして経済産業省を含めて――のトップは交渉を加速させているだろう。

2011年度第3四半期の落ち込みが引き金に

 3社のシステムLSI事業の統合を推し進める直接の引き金は何だったのか。それは、2011年度第3四半期(2011年10〜12月期)業績の大幅な落ち込みである可能性が高い。図1に、ルネサスのシステムLSI事業に当たるSoC(System on Chip)事業、富士通のデバイスソリューション内のLSIセグメント(富士通セミコンダクター全体に相当。システムLSI以外にマイコンやPC/携帯電話機向け電源ICなどを含む)、パナソニックのデバイス部門内の半導体セグメント(パナソニックの半導体事業全体に相当。システムLSI以外に、マイコン、CMOSセンサー、パワー半導体などを含む)、それぞれの売上高について、2010年4〜6月期から2011年10〜12月期までの推移をまとめた。今回の統合案には入っていない東芝のシステムLSIセグメント(システムLSI以外にマイコンや汎用ロジックICを含む)の売上高も併せて示している。

図1 国内半導体メーカー大手4社の売上高推移 図1 国内半導体メーカー大手4社の売上高推移 ルネサスはSoC事業、パナソニックは半導体セグメント、東芝はシステムLSIセグメントを示している。

 4社ともピークとなった2010年7〜9月期以降、2010年10〜12月期には売上高を減少させている。その後、2011年1〜3月期には下げ止まる傾向が見えつつあったものの、東日本大震災によって2011年4〜6月期は大幅に落ち込んだ。震災の影響から脱した2011年7〜9月期は、パナソニックを除き回復したものの2011年1〜3月期のレベルには満たない程度にとどまっている。各社は、この2011年7〜9月期の決算を発表した10月末時点で、2011年10〜12月期の売上高は2011年7〜9月期と同程度、もしくは上回ると見込んでいた(関連記事1)。「2011年度下期(2011年10月〜2012年3月期)は全社ベースで黒字化を目指す」(ルネサス社長の赤尾泰氏)など、2011年度後半の業績回復に期待をかけていたのである(関連記事2)。

 しかし、2011年10〜12月期の決算は厳しい結果となった。ルネサスのSoC事業は前期比約16%減、富士通セミコンダクターは同約12%減、パナソニックの半導体セグメントは同約9%減、東芝のシステムLSIセグメントは同約19%減と、2011年7〜9月期の売上高を大幅に下回った。2011年9月末の予測と実際の業績が大きくかい離する原因となったのは、既にある程度の影響を想定できていた円高やタイの洪水ではなく、欧州/中国市場における「想定以上」(赤尾氏)の景気悪化であった。2012年1〜3月期に至っては、2011年10〜12月期をさらに下回る可能性が高い。ルネサスのSoC事業を見ると、2012年1〜3月期の売上高は前期比で10%台後半の減少、つまり450億円程度まで落ち込む見込みである。これは、民生用機器向けから一部撤退する影響を含んでいるとはいえ、極めて先行きが厳しいと言わざるを得ない。

 2012年度以降も、システムLSI事業は、最終製品や各地域の市場動向という予測することが難しい要因に左右されることが避けられない。この予測不能なシステムLSI事業を社外に切り離せるとともに、“規模の経済”の効果も得られる今回の統合案は渡りに船といったところだろう。

 ただし、統合案を成り立たせるためには、景気が悪化する時期における損失の元凶であり、巨大な固定費を生み続けているシステムLSIの製造部門の処置が課題になる。この引受先として白羽の矢が立ったのが、大手ファウンドリのGLOBALFOUNDRIESである。今回の統合案では、ルネサスの鶴岡工場と富士通セミコンダクターの三重工場、そしてエルピーダメモリの広島工場が、産業革新機構とGLOBALFOUNDRIESの合弁会社の傘下に収まることになっている。鶴岡工場や三重工場と同じく45nmラインを備えているルネサスの那珂工場とパナソニックの魚津工場は対象になっていないようだ。

 なお、鶴岡工場と三重工場は、45nmラインの生産能力は限定されており、65nmラインと90nmラインが主力である。一方、エルピーダメモリの広島工場は、DRAMの製造ラインではあるものの、一部の装置を置き換えれば28nmプロセスのシステムLSIを製造できるようになる。

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