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Intelがファウンダリ事業を加速、22nmで新興FPGAベンダー2社目を獲得プログラマブルロジック FPGA

Intelは、FPGAの新興ベンダーであるTabulaの製品を、22nm世代の3次元構造のトライゲートトランジスタ技術を適用して製造する。この2社に関しては、2011年5月にファウンドリ契約を結んだという報道が流れており、このほどそれが公式に発表された形だ。

» 2012年02月22日 14時53分 公開
[Dylan McGrath,EE Times]

 「3PLD(Programmable Logic Device)」と呼ぶ独自アーキテクチャのFPGAを手掛ける新興ベンダーのTabula(タブラ)は2012年2月21日(米国時間)、同社の3PLD製品をIntelが22nm世代の3次元構造のトライゲートトランジスタ技術を適用して製造すると発表した。Intelは2010年に、FPGAのもう1社の新興ベンダーであるAchronix Semiconductorとも22nm世代を適用した製造受託の契約を結んでおり、TabulaはIntelのカスタムファウンドリ(Custom Foundry)部門を利用する第2のFPGAベンダーになる。

 Intelは、半導体の製造受託(ファウンドリ)事業とASIC事業に長年組んでいたが、ASIC事業については数年前に撤退しており、ファウンドリ業界でも大手とは見なされていなかった。アナリストの中には、Achronixとの契約が公表されたことを受け、半導体の最大手メーカーであるIntelが、TSMCが非常に大きなシェアを占めるファウンドリ市場でも存在感を高めることを狙っていると見る向きもあった。2011年にロイター通信(Reuters)は、Intelの複数の幹部が「もし機会が与えられるなら、例えばAppleのような大手機器メーカーに向けて、チップの量産を請け負うこともしたい」と語ったと報じている。

 Tabulaは、Achronixと同様に、まだビジネス規模の小さなFPGAの新興企業であり、XilinxとAlteraの最大手2社が専有する市場セグメントに攻め込もうとしている。TabulaがIntelに委託して22nm技術で製造するチップの量産規模は、Intel自体の製品の量産規模に比べるとごくわずかにすぎない。TabulaやAchronixが手掛けるハイエンドFPGAの分野では、最先端の半導体製造技術を適用することで製品価値を高められることから、Intelとの協業はこの2社にとって非常に魅力的な選択肢だったようだ。

 TabulaのCEO(最高経営責任者)を務めるDennis Segers氏は、次のように述べている。「当社は、Intelの22nm世代における取り組みを検証した際に、早い時期から、Intelの製造技術と当社の製品にシナジーが得られるはずだと感じた」(同氏)。

 Tabulaに対してIntelがファウンドリサービスを提供するといううわさは、ここ1年ほど業界に流れていた(参考記事:Intelがファウンダリ事業で新興PLDもう1社と契約と報道、Appleの受託も視野か)。

 Intelは2011年5月に、長年にわたって開発を続けてきたトライゲートトランジスタが、同社の22nm世代の半導体プロセスの基盤になると発表した(参考記事:「ムーアの法則はまだまだ継続」、Intelが3次元ゲート構造を22nmプロセスから採用)。トライゲートトランジスタの技術は、当初は2011年の後半にも量産品に適用されると見られていたが、最近の報道は、Intelの22nm世代のプロセッサ「Ivy Bridge」は2012年6月まで量産が始まらないという可能性を示唆している。

 Tabulaは、2003年の創設後、表立った活動を控える「ステルスモード」で運営を続けていたが、2010年3月に3PLDアーキテクチャを公式に発表した。同社はこのアーキテクチャに基づくFPGAを、「既存のFPGAを超える、新たなクラスのプログラマブルデバイスだ」と表現しており、「先例の無いような高い機能を、大量生産の機器に組み込めるような低い価格で提供する」と主張する。

 同社の3PLDアーキテクチャは、プログラマブルロジック領域に実装する回路を動的に再構成し、時分割で書き換えることで、実効的なロジック規模を拡張する同社独自の技術「SpaceTime」に基づく。これにより実効的なロジック規模当たりのチップ面積を抑えられるので、価格を低く設定できるという。

 Tabulaは、このアーキテクチャを適用した最初の製品群「ABAX」をTSMCの40nmプロセスを使って製造していた。既に量産しており、1.6GHzのクロック周波数で動作する。TabulaのSegers氏は、この40nm世代の製品についてはTSMCとの関係を継続すると述べている。

 なお同氏は、22nm世代の製品が量産に入る時期については回答を避けた。同社はまた、Intelとの契約の詳細についても公表していない。

【翻訳/編集:EE Times Japan】

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