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LTE、LTE-Advanced、異種ネットワーク――無線基地局の進化に応える通信処理プロセッサが発表Mobile World Congress 2012 無線通信技術

Freescale Semiconductorは、「Basestation on a chip(基地局機能を1つのチップに)」をコンセプトにした無線基地局向けプロセッサ製品群「QorIQ Qonverge」を拡充した。

» 2012年02月29日 13時56分 公開
[前川慎光,EE Times Japan]

 Freescale Semiconductorは、通信処理プロセッサとDSP、ハードウェアアクセラレータを1チップに集積した無線基地局向けプロセッサ製品群「QorIQ Qonverge」を拡充し、マクロセルに向けた「B4860」を発表した。2012年第2四半期にサンプル出荷を始める。

 同社は、「Basestation on a chip(基地局機能を1つのチップに)」というコンセプトを2011年2月に発表し、QorIQ Qonverge製品群の第1弾となる「PSC9132」と「PSC9131」を製品化していたが、これらの品種はピコセルやフェムトセルを対象にしていた(関連記事)。今回、規模の大きな無線基地局であるマクロセルに対応した品種を追加した。

 同社は、モバイル通信機器の国際展示会「Mobile World Congress 2012」(2012年2月27日〜3月1日、スペインバルセロナ)でB4860を発表し、これに合わせて東京都内で製品説明会を開催した。

図 フリースケール・セミコンダクター・ジャパンの事業統括本部でネットワーク・セグメント・マーケティング担当部長を務める岩瀬肇氏

 B4860を構成する主要な回路ブロックは、QorIQ Qonverge製品群の従来品と変わらない。すなわち、Power Architectureのプロセッサコア「e6500」と、「StarCore」と呼ぶDSPコア、パケット処理やベースバンド処理を担当するハードウェアアクセラレータで構成している。ただ、マクロセルの処理負荷に対応するために、以下の3つの改良を施した。

 1つ目は、ピコセルやフェムトセル向けが45nmプロセスで製造していたのに対して、マクロセ向けは28nmプロセスを採用した点。2つ目は、プロセッサコアとDSPコアの数を増やした点。具体的には、1つのプロセッサコアで2つのスレッドを処理できるe6500コアを4つ、DSPコアを6つ搭載した。3つ目は、新たなハードウェアアクセラレータを採用した点である。

図 無線基地局向けプロセッサ「B4860」の特徴と構成 (クリックすると拡大します)。
無線基地局向けプロセッサ「B4860」を構成する各ブロックの特徴と構成。左から、Power Architectureプロセッサ、DSP、ハードウェアアクセラレータ(クリックすると拡大します)。

 「例えば、3つのDSPとスイッチ、マルチコアプロセッサという5つの半導体チップで実現していたLTE基地局のチャネルカードを、当社のプロセッサを使えば1チップで置き換えられる。当社の試算では、このチャネルカードの部品コストを75%、消費電力を67%削減可能だ」(同社)。LTE方式への移行や、高周波処理部とベースバンド処理部を切り分けた「統合型マクロセル」の導入、マクロセルの他にフェムトセルやピコセルを含んだ「ヘテロジニアス(異種)ネットワーク」の実用化といった最近の市場要求に応えられるという。

左はマクロセル基地局の抱えている課題、右はマクロセル向け「B4860」の対象用途。 (クリックすると拡大します)。

左はFreescale Semiconductorの無線基地局向けプロセッサの歴史、右は同社の注力市場。(クリックすると拡大します)。

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