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「両社の関係は順調」、GLOBALFOUNDRIESがAMDからの売り上げ増加に期待ビジネスニュース

ウエハー供給契約の改定により、AMDは、28nmプロセスを用いたAPUをGLOBALFOUNDRIES以外のファウンドリで製造することが可能になった。そのような状況ではあるが、GLOBALFOUNDRIESは、AMDからの売り上げは増加すると見込んでいる。

» 2012年03月21日 11時17分 公開
[Dylan McGrath,EE Times]

 AMD(Advanced Micro Devices)は、GLOBALFOUNDRIESとのウエハー供給契約の改定に合意したことにより、28nmプロセスを用いたAPU(Accelerated Processing Unit)を、GLOBALFOUNDRIES以外のファウンドリにも発注できるようになった(関連ニュース)。そうした状況にもかかわらず、GLOBALFOUNDRIES側は、2012年にAMDとのビジネスが拡大すると見込んでいるようだ。

 GLOBALFOUNDRIESの営業、マーケティングおよび品質部門のシニアバイスプレジデントを務めるMichael Noonen氏は、2012年3月14日に米国カリフォルニア州サンタクララで開催された「Common Platform Alliance Technology Forum」で、2012年にAMDがGLOBALFOUNDRIESから約15億米ドル分のウエハーを購入する見込みであることを明らかにした。2011年の実績である9億米ドルから増加することになる。

 AMDとGLOBALFOUNDRIESは2012年3月、ウエハー供給契約の改定に合意したと発表した。これにより、GLOBALFOUNDRIESは、AMDの28nm APUの製造権を放棄することになった。その見返りとして、AMDはGLOBALFOUNDRIES側に現金で4億2500万米ドルを支払う他、所有するGLOBALFOUNDRIESの株式をGLOBALFOUNDRIESに譲渡する。この株式譲渡に関連して、AMDは2億7800万米ドルを受け取る予定だという。

 AMDが、4億2500万米ドルもの現金やGLOBALFOUNDRIESの株式と引き換えにしてもウエハー供給契約の改定に合意していることから、両社の関係が終わりに近づいているとの見方も強かった。

 だが、アナリストとの電話会議で、AMDのCFO(最高財務責任者)であるThomas Siefert氏は、同社が2012年にGLOBALFOUNDRIESから約15億米ドル分のウエハーを購入する予定であることと、28nmプロセス製品の製造をGLOBALFOUNDRIESとTSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company)の両方に委託することを明らかにした。

 また、Siefert氏は、32nmプロセス製造ラインでの歩留まり問題でぎくしゃくしていたAMDとGLOBALFOUNDRIESの関係が改善しつつあることを強調した。同氏は、「両社の発展は双方にとって非常に喜ばしいことであるし、2012年からの技術ノードの新たな方向性にも満足している。今回の合意により、両社はそれぞれの利益を享受することができる上に、GLOBALFOUNDRIESにとっては、顧客基盤のさらなる多様化につながる」と述べた。

 Noonen氏は、3年以上在籍していたNXP Semiconductorsから移る形で2012年1月にGLOBALFOUNDRIESに入社した。同氏は、「AMDから完全に分離することは、GLOBALFOUNDRIESがずっと目指していたことだ」とした上で、合意の内容に当初の想定とは異なる部分がある点も認めている。

 2011年、GLOBALFOUNDRIESの32nmプロセスにおける歩留まりの低下がAMDの売り上げを減少させたことで、両社の関係は悪化していた。そうした状況の中で、両社とも2011年に経営トップが交代し、GLOBALFOUNDRIESのCEO(最高経営責任者)にはAjit Manocha氏が、AMDのCEOにはRory Read氏が就任した。Noonen氏によると、こうした経営陣の刷新が、より健全な関係を築いていくというその後の方向性を決定付けたという。ウエハー供給契約を改定することや、AMDが所有するGLOBALFOUNDRIESの株式を手放すことは、両社の提携関係をさらに改善する一環として行われるとNoonen氏は主張する。

 Noonen氏は、「スピンアウトした企業が親会社からの離脱を試みる時には、常に多くの難しい課題が伴うものだ」と語った。また、「AMDとの契約を改定したことで、当社の経営基盤はさらに健全なものとなり、AMDにとって“ベストサプライヤー”になるという目標を、ようやく前面に押し出せるようになった」と付け加えた。

 Noonen氏によると、2011年第4四半期におけるGLOBALFOUNDRIESの売上高は、UMC(United Microelectronics Corporation)を上回り、ファウンドリ企業としては、TSMCに続く2番手に浮上した。Noonen氏は、「2012年もこの位置を維持したい」と述べる。

 GLOBALFOUNDRIESは、四半期ごとの決算報告をしない株式非公開企業であるため、「2番手」という同社の主張を検証するのは難しい。市場調査会社である米国のIC Insightによると、2011年における半導体ファウンドリ市場の上位3社の売上高は、TSMCが146億米ドル、UMCが37億6000万米ドル、GLOBALFOUNDRIESは35億8000万米ドルだった。

【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】

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