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» 2012年03月23日 07時30分 UPDATE

エネルギー技術 電気自動車:米国で今、電気自動車に乗るということ――盛り上がる市場とコミュニティー (1/3)

電気自動車の開発に古くから取り組んでいた米国だが、その市場は世界の他地域と同様にニッチにとどまっていた。しかし2008年にテスラがロードスターを発売、2010年末には日産リーフが上陸。政府の支援もあり、ついに市場が離陸しそうだ。ある電気自動車オーナーを訪ね、一消費者の視点から最新事情をリポートする。

[登丸しのぶ/Shinobu T. Taylor,EE Times Japan]

乗ってみて、即注文

 米国ワシントン州シアトル市在住のBruce Oberg(ブルース・オバーグ)氏は現在、2台の電気自動車を所有している。Tesla Motors(テスラ モーターズ)のスポーツカー「Tesla Roadster(テスラ ロードスター)」と日産自動車の「LEAF(リーフ)」である。同氏が暮らすシアトルは、言わずと知れたMicrosoftの本拠地であり、他にも数多くのIT企業が拠点を置く、北米でも指折りのIT先進地域だ。そのため新技術に敏感な人が多く、電気自動車の市場としては北米でトップレベルとなっている。

 オバーグ氏自身も元Microsoftのエンジニアで、現在は自ら共同創設者として立ち上げたゲーム制作会社のリードプログラマを務めている。オバーグ氏の電気自動車オーナー歴は約2年半、プライベート試乗会でテスラ ロードスターに出会ったことがきっかけだった。

ブルース・オバーグ氏 ブルース・オバーグ氏 日本車を購入したのは日産リーフが初めてだという。(クリックで画像を拡大)

 「友人に誘われて、彼に会うついでにカッコいい車を見てやろうくらいの気持ちで参加したんだが、試乗してみて驚いた。加速がジェットコースターのようにスムーズでとにかく静か。そして乗り回すのにガソリン車よりもお金が掛らないという。車両自体はとても高かったけどね(笑)。結局、その場で即、オーダーを入れてしまったよ」(オバーグ氏)。

 ロードスターの価格は10万米ドル。確かに、平均的な所得のアメリカ人には高値の花だ。オバーグ氏は「買える立場にあってラッキーだったよ」と言う。これはもちろん、相当の所得があったということだが、それ以外に、このレアな車を購入できてラッキーだったという意味もある。ロードスターは2500台の限定販売で、米国での受注は2011年8月に終了している(日本では2012年3月時点では販売を継続しており、価格は「ロードスター 2.5」が1276万8000円から)。オバーグ氏が参加した試乗会も、招待客限定のごく内輪なものだったという。

オバーグ氏所有のテスラ ロードスター オバーグ氏所有のテスラ ロードスター カスタマイズしたナンバーは「00FF00」。これはHTMLコードの“グリーン”の意味。(クリックで画像を拡大)

 一方、日産リーフは米国各地で大々的に試乗会を開催し、3万3000米ドルと手頃な価格も手伝って、2011年には米国内で1万台近くを販売した。

国、州単位での電気自動車への支援

 米国では、グリーン化を強力に押し進めるオバマ政権の下、電気自動車の購入に国の助成金としてタックスクレジットを与えている。これは、消費者が年度末に徴収される所得税から一定額が免除されるという制度だ。免除額は電気自動車が搭載する電池の容量に応じて上昇し、最低が5kWhで2500米ドルから。それを超えると1kWh当たり417米ドルが加算され、16kWhで上限額の7500米ドルに達する。

 この上限額の条件に当てはまる車種としては、テスラ ロードスターと日産リーフの他、General Motorsのプラグインハイブリッド車「Chevrolet Volt(シボレー・ ボルト)」などがある。同じプラグインハイブリッド車でも、トヨタ自動車の「プリウス」など電池容量が比較的小さい車種では、免除額が2500米ドルに減ってしまう。

 さらに米国では、各州政府も独自の助成金を用意している。ワシントン州は、電気自動車の購入時に米国の消費税に相当する州政府の売上税6.5%を免除する制度を設けた*1)。この制度は、充電器やその設置費用にも適用される。「7500米ドルといえば、日産リーフの販売価格の2割強を賄える金額だ。それに売上税の免除が加わるとなれば、日産リーフはかなりお手頃な車と言えるね」(オバーグ氏)。

日産リーフを運転するオバーグ氏 日産リーフを運転するオバーグ氏 急坂の多いシアトルの街でも快適に走る。(クリックで画像を拡大)

 さらに、シアトル郊外のベルビュー市、レドモンド市は、米国エネルギー省が主導し、米国の電気自動車充電ソリューションのリーディングカンパニーであるCoulomb Technologiesがスポンサーとなって提供しているプログラム「ChargePoint America」が対象とする10地域のうちの1つになっており、同地域の住民および法人は、このプログラムに申し込んで条件審査を通過すれば無料で充電器を入手できる(ただし設置費用はオーナー負担)。

 ChargePoint Americaプログラムによって設置された充電器は、使用状況のデータをワイヤレスで同プログラムのネットワークサービス「ChargePoint Network」に送信する機能を備えており、同サービスがユーザーに充電ステーションの稼働状況を通知したりする用途に活用する。ユーザーはこのサービスにアクセスすれば、近隣の充電ステーションを検索できる上、各ステーションの充電ポートの設置数や、ポートごとの使用状況までリアルタイムで確認することが可能だ。

*1)ワシントン州の売上税は、州が定めた税率6.5%に各郡や市がそれぞれに上乗せした税率を最終消費者が負担する形を取っている。シアトル、ベルビュー、レドモンドなど、ワシントン州経済の中枢都市を擁するキング郡の売上税は、州税6.5%に2.5%を上乗せして9%となっている。

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