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» 2012年04月27日 15時20分 UPDATE

電子部品 タイミングデバイス:「電子ブックは実績あり、次はスマホを狙う」、MEMS発振器のSiTimeが表明

シリコン材料を使うMEMSタイミングデバイスを手掛けるSiTime。既に電子ブックリーダーやデジタルカメラに採用実績があるという。同社が次に狙うのは、スマートフォンとはじめとしたモバイル通信端末だ。従来品は消費電力がネックになっていたが、それを改善した品種を7月に投入する予定である。

[薩川格広,EE Times Japan]

 「実は、Amazonの『Kindle』やデジカメなどのモバイル型民生機器に既に採用されている。だが、スマートフォンではまだ実績が無い。次は、その市場を取りにいく」―― シリコン材料を使うMEMSタイミングデバイスを手掛けるSiTimeは、半導体関連企業の首脳陣が集う報道関係者向けイベント「Globalpress Electronics Summit 2012」(米国カリフォルニア州のサンタクルーズで2012年4月23日〜26日に開催)でEE Times Japanの取材に応じ、今後、スマートフォンをはじめとするモバイル通信端末に向けた低消費電力品を投入すると表明した。具体的には、消費電流を2mA以下に抑えつつ±2ppmの周波数精度を確保できるMEMS発振器を開発中で、2012年7月に製品を投入する予定である。同社CEOのRajesh Vashist氏は、「2mA、±2ppmという数字が、モバイル端末市場における“マジックナンバー”だ」としており、これを達成することで機器メーカーの検討対象になると語った。

Rajesh Vashist氏 SiTime CEOのRajesh Vashist氏

 同氏によると、SiTimeのMEMS発振器は電子ブックリーダーやデジタルスチルカメラなどでは既に採用されており、プロセッサのクロック信号源などに使われている。例えばAmazonの「Kindle」で採用実績があるとする。ただし、電池容量が比較的大きいそうした機器では採用されていても、電池容量の制約がさらに厳しい上に、より高い周波数精度を求める回路を組み込むスマートフォンなどのモバイル通信端末では、これまでMEMS発振器は検討対象にならなかったという。実際に同社の製品ラインアップも、消費電流が2mA以下の品種と、精度が±2ppm以下の品種はいずれも個別に製品化済みだったが、2mA以下で±2ppmという特性を両立した品種は現時点ではまだ提供していない。例えば、既存の低消費電流品は、精度が±25ppmのオーダーだった。一方で、精度が得られる品種は消費電流が大きくなってしまっていた。

 7月に製品化する品種では、2mA以下で±2ppmという特性を両立できると主張する。精度を維持しつつ消費電流を削減する手法について尋ねると、次のように答えた。「MEMS発振器は、材料に使うシリコンの温度特性によって周波数が変動し、精度の低下を招く。そのため従来品では、高精度の温度センサーとデジタル温度補償回路を使い、その変動を補償することで精度を確保していた。モバイル端末向けの新型品では、これらを取り除く。それにより、低消費電流化を図る。そのままでは精度を維持できないが、それを新たな技術で解決した。今はまだその技術の内容を公表できないが、製品の発表時に明らかにする」(同氏)。

既存のMEMS発振器の回路ブロック図SiTimeのMEMS発振器が採用されている主な用途 左図は、SiTimeのMEMS発振器が現在採用されている主な用途である。スマートフォンをはじめとしたモバイル通信端末の市場は、消費電力の制約が厳しい上に、その制約の中で比較的高い周波数精度が求められるため、既存品では採用実績がなかったという。右図は、同社のMEMS発振器の回路ブロック図。7月に投入する品種は、このうち温度センサー(Temperature Sensor)とデジタル温度補償回路(Digital Temperature Compensation)を取り除いて低消費電流化した上で、新たな手法を採用することで周波数精度を確保すると説明する。(画像はそれぞれクリックで拡大)

 この低消費電流化の取り組みによって、モバイル通信端末が内蔵する無線トランシーバ用やGPSレシーバ用の水晶発振器や、カレンダ機能に使う水晶振動子利用のリアルタイムクロックなどを、MEMS発振器に置き換えられるようになるという。「例えば、無線トランシーバ用が40米セント、GPS用が70米セント、リアルタイムクロックが20米セントとすれば、モバイル端末台当たりに1.3米ドル相当の製品が使われることになる。世界のモバイル端末市場が10億台とすれば、当社にとって13億米ドル規模の市場が新たに開けるという計算だ。この大きな市場を重要視しており、開発に取り組んでいる」(同氏)。

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