コラム
» 2012年05月08日 12時55分 UPDATE

LED/発光デバイス:超高速タブレットが実現か、「チップ内」光伝送で消費電力も下がる (3/3)

[畑陽一郎,EE Times Japan]
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優れた発光特性が得られた

 共振器自体の構造についても最適化を進めた。共振器の中央部分に縦穴を持たない欠陥構造(L3構造と呼ぶ)を作り込み、基板に対して鉛直方向に発光が集中するようにした(図6)。これにより室温で、1.35μmと1.4μm付近に鋭い発光スペクトルが得られた。Q値*3)は約500である。

*3) Q値(Quality Factor)とは、共振器の性能指標で、共振の先鋭度を表す。ピークとなる共振周波数を共振器の半値幅で割った値であり、値が大きいほど発振が安定していることを示す。

20120508TCU_newdevice_590px.jpg 図6 素子の全体構造と共振器 素子の全体構造(図左)の中央部を拡大し、共振器の欠陥構造を写したところ(図右)。縦穴の周期は420nm。直径は約200nm。中央の欠陥構造は縦穴3個分あり、直線状に並ぶことから「L3構造」と呼ぶ。L3構造の左右の縦穴の直径や中心位置を他の縦穴と変えることで、発光効率の向上と、垂直方向へ放出される光の最適化を施した。縦穴は電子ビームリソグラフィーで加工している。出典:東京都市大学

 さらに、Si基板とSi層に挟まれた埋め込みSi酸化膜をフッ化水素によって除去し、空気層に変えることで、Q値が1560に向上した。「屈折率の変化が大きくなり、光の面内閉じ込めが強くなったためだ。室温で動作するSi系の材料を用いた電流注入型発光素子としては、世界最高水準の結果だと考える」(丸泉氏)(図7)。

20120509TCU_Q1560_400px.jpg 図7 高いQ値が得られた 図の上側が埋め込み酸化膜(BOX)を除去した素子の発光スペクトル。出典:東京都市大学

 「一般に電流注入型発光素子では、発光強度を注入電流のm乗という形で表現できる。今回の試作品では、低電流域でm=1.39、電流の量が1mAを超えると、m=1.93となる優れた性質を示した。今回の素子をLEDとして使うことを考えると、今後、Q値を数千から1万程度まで高めることが次の目標となる。量子ドットの位置やサイズの精密な制御*4)によって、mの値を高め、3〜4年で達成したい」(丸泉氏)。具体的にはMBE法ではなく、UHVCVD(Ultrahigh Vacuum Chemical Vapor Deposition)法の採用によって実現できるとした。

*4) この他、Ge量子ドット層を増やすことでも光強度を高められる。


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