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» 2012年05月28日 18時40分 UPDATE

無線通信技術 ホワイトスペース:「その周波数帯ちょっと借ります」、NICTがホワイトスペース通信の実証に成功

情報通信研究機(NICT)は2012年5月、地上デジタルテレビ放送周波数帯(470〜710MHz)をいわば「間借り」して、データ通信を実施するホワイトスペース通信の実証に成功した。ひっ迫する周波数帯の有効活用を促し、モバイルデータトラフィックの急増に対する切り札とも言える新技術だ。

[EE Times Japan]

 情報通信研究機(NICT)は2012年5月、地上デジタルテレビ放送周波数帯(470〜710MHz)を利用したホワイトスペース通信の実証実験に成功したと発表した。

 ホワイトスペース通信とは、既に特定の目的に割り当てられているものの、地理的条件や時間的条件によって一時的に他の目的にも利用できる周波数帯を使った、いわば「間借り通信」のこと。実証実験では、無線端末がインターネット上の「ホワイトスペースデータベース」にホワイトスペースの状況を問い合わせ、その結果に基づいて運用周波数を設定し、通信できることを確認した。

 ホワイトスペース通信が実用化すれば、通信の混雑や電波干渉によって十分な通信速度が得られない無線システムのデータトラフィックを、ホワイトスペースにオフロード(負荷分散)することができる。「激増するモバイルトラフィックを収容する無線通信環境の実現につながる」(NICT)。

図 実証実験システムの外観 四隅にある4台が無線基地局。無線基地局の対応周波数は470〜710MHz帯と、2.4GHz帯。ビットレートは最大54Mビット/秒、送信出力は20dBmである。MAC制御の方式はIEEE 802.11aに準拠している。

モバイルデータトラフィック急増への切り札

 モバイルブロードバンド通信の拡大に伴った周波数のひっ迫を背景に、既に割り当てられた周波数帯を既存無線局に影響を与えないように活用(共用)するホワイトスペース通信に注目が集まっている。

 例えば、米国や英国の規制当局では、テレビ放送周波数帯における周波数の二次利用を想定し、既存無線局のデータベースを用いて二次利用者が運用周波数を決定する方式を検討している。日本でも、総務省ホワイトスペース推進会議が取りまとめた「ホワイトスペース利用システムの共用方針」の中で、テレビ放送周波数帯において、既存無線局と周波数を共用する通信システムが提案されていた。しかし、日本国内では、データベースと連携したホワイトスペース通信の実証実験は実施されていなかったという。

図 ホワイトスペースデータベースの操作画面イメージ 地図部分は、東京タワー及び伊豆大島から送信されたテレビ放送の放送エリアを米国FCC基準により計算した結果を表示している。右のパネルは、利用者が指定した位置(横須賀)における利用可能チャネルを模擬情報に基づきFCC基準により判定した結果である。開発したデータベースは、「IETF PAWS」で議論されているドラフト仕様に準拠したプロトコルにより、無線基地局からの問い合わせに応答する。

 今回NICTは、ホワイトスペースデータベースと、ホワイトスペース通信に対応した無線基地局/端末を開発した。まず、既存無線局(一次利用者)とその周波数を使う二次利用者間の干渉レベルを自動計算し、二次利用が可能な周波数の情報を提供するホワイトスペースデータベースを構築した。無線基地局/端末は、データベースに問い合わせた周波数に設定を変更してブロードバンド通信を実施する機能を有する。データベースと無線基地局/端末を統合して運用することで、一次利用者に影響を与えない周波数を自動的に選択して無線通信を開始できることを実証実験で確認したという。

 現在NICTは、日本の地形や利用形態の特徴に基づき、ホワイトスペースを算出する方式を検討している。今後、その提案方式の性能を評価する他、開発した技術が広く実用化されるように国際標準化活動を進める予定である。

図 実証実験システムの構成 実証実験システムは、主にホワイトスペースデータベース、無線基地局、メッシュマネージャーで構成されている。無線基地局は、一定のエリアに複数個配置し、メッシュ技術により相互接続することによって、エリア全体をカバーする。端末と無線基地局は2.4GHz帯の無線LANでつながり、無線基地局は470〜710MHz帯または2.4GHz帯を利用した基地局間のメッシュネットワークを介して、インターネットにアクセスする仕組みである。

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