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「SiC」と「GaN」、勝ち残る企業はどこか?(前編)知財で学ぶエレクトロニクス(1)(4/5 ページ)

» 2012年08月06日 09時45分 公開
[菅田正夫,知財コンサルタント&アナリスト]

GaNウエハー事業開発動向

 次にGaNウエハー供給事業開発の現状を探ってみましょう。

 インターネット上で公開されている情報で確認できた範囲から、表2にGaNウエハーに取り組む企業の状況をまとめました。

 表2では、各社の手掛けるGaNウエハーの種類、企業の拠点とする国や地域、そしてウエハー製造のどのプロセスまでを担当しているかを示しています。

表2 GaNウエハーに取り組む企業の開発動向 表中の記号の意味は以下の通り。○:該当を確認済み、―:非該当を確認済み、無印:確認できていない。クリックで拡大

 GaNウエハーの供給企業に注目すると、海外企業としてはスウェーデンACREOやポーランドAmmono、フランスSAINT-GOBAIN(サンゴバン)などがあり、日本企業としては「GaN on Si」*17)に取り組む東レ・ダウコーニングや、NTTアドバンステクノロジ(NTT-AT)からデバイス用GaN on SiやGaN on Sapphireの委託生産を依頼されている三菱化学(本業は自社LED向けGaNウエハー)などが挙がります。そして高品位GaN結晶をサファイア基板上に安価に形成するパウデックなどもあります。

*17) GaNの単結晶層を直接製造するのではなく、Si基板上に成長させる手法を、「GaN on Si」と呼ぶ。サファイア基板上に成長させる手法もあり、「GaN on Sapphire」と呼ぶ。

 GaNウエハーにはパワー半導体だけでなく、LEDという用途もあります。それぞれのGaNウエハーに求められる品質は同じではありません。LED向けGaNのバルク結晶やウエハー製造設備への投資が進めば、パワー半導体向けGaN原材料コストの低減を期待できるという利点があります。

 それでは、表2で取り上げた各企業の動向を知財の観点から追ってみましょう。

住友電気工業はフランス企業と協業

 GaNウエハー国内最大手の住友電気工業は協業を通じて事業を拡大しようとしています。これまでは一般に、サファイアなどの下地基板のうえにGaN単結晶を成長させ、その後に下地基板を除去する方法でGaN単結晶ウエハーを製造していました。しかし、2インチ以上の大面積になると、GaNウエハーにダメージを与えることなく下地基板を簡単に、完全かつ再現性良く除去することは困難でした。

 このような状況を踏まえ、住友電気工業は2010年12月、フランスのS.O.I.TEC Silicon On Insulator Technologies(Soitec)と低コストGaNウエハーの開発の協業開始を公表しました*18)。住友電気工業の高品質GaN基板製造技術とSoitecのSmart Cut技術を組み合わせ、低コストで高品質な薄膜GaNウエハーの共同開発を始めるという内容でした。

 具体的には、Smart Cut技術を用いて、GaN基板に極薄の膜転写を繰り返し行うことにより、1枚のGaN基板から複数枚の薄膜GaNウエハーを製造するとしています。この手法により得られる薄膜GaNウエハーは、エピタキシャル成長によるデバイス層形成においても、GaNウエハーの結晶品質が保たれるそうです。

*18) 協業に関する住友電気工業の発表資料

 そして、住友電気工業とSoitecの両社は2012年1月に、4インチと6インチの薄膜GaNウエハーの製造に成功し、量産に向けたパイロット製造ラインの整備を開始したと発表*19)しています。これにより、住友電気工業は高輝度白色LEDやパワーデバイス市場のGaNウエハー需要に応えるとしています。

*19) GaNウエハーの量産に関する住友電気工業の発表資料

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