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» 2012年09月03日 08時00分 UPDATE

EETweets 岡村淳一のハイテクベンチャー七転八起(12):産学連携ベンチャーを成功させる3つの鍵 (1/2)

自ら大学発のハイテクベンチャーを起業して早くも5年になりました。小生なりに見えてきた、産学連携ベンチャーを成功に導くために必要なポイントを3つ挙げます。

[岡村淳一,Trigence Semiconductor]

@trigence」のつぶやきを出発点に、企業経営のあれこれや、エレクトロニクス業界に思うこと、若い技術者へのメッセージを連載中!!→「EETweets」一覧

 皆さん、こんにちは。今回のテーマは「産学連携」です。なぜかって? 日本の電機業界の閉塞(へいそく)感を打ち破るキッカケがあるとすれば、それは「産学連携ベンチャーしかない」という強い信念があるからです。そして、当社(Trigence Semiconductor)が誕生したキッカケも大学を軸にした人脈連携にあります。

 米国のハイテクベンチャーの多くが、大学の研究成果をルーツに生まれていることをあらためて説明するまでもないと思います。1990年代初頭に、小生が初めて出会った半導体ベンチャーであるRambusもStanford University発の産学連携ベンチャーでした。大学の研究成果を基に起業し、ベンチャーキャピタルから資金を得て大手企業とのパートナーシップを構築する。そして、株式公開を目指すというビジネスモデルを身近に見聞きするのは、当時、新人エンジニアであった小生には新鮮かつ、超〜魅力的に感じたものです。

産学連携でベンチャー立ち上げるなら、パートナーの大学の研究者が自腹でそこそこの資金を投入することが大前提だと思う。技術を提供しますって言うダケでは不十分だろうな。起業したら最後、想定外の事態ばかり発生する。コアメンバーが真剣に対応するためには、全員が自腹を切るのは当然だろう。


 その当時、米国企業が日本の大手電機メーカーを相手に多数の特許訴訟を起こしたことも、印象に残っています。小さな企業だとしても、特許があれば大手企業に伍してビジネスを展開できるのだという事実を心に刻みました。産学連携のハイテクベンチャーを起業するからには、競合他社と差別化するコアコンピタンスとして、特許に守られた技術があることが必須です。大学にあるシーズ(技術の種)を探し出して、それをベンチャーという保育器に入れ、大手企業と連携することで急成長させる。そんな「ホップ・ステップ・ジャンプ」のプロセスが米国における産業活性化の秘訣だと感じました。

 以上のように、新人エンジニアだった時に米国のハイテクベンチャーを分析してみたものの、大学を卒業して以来、所属していた研究室とは疎遠ですし、産学連携なんて日本では難しいだろうって、はなから諦めていました。ところが、大手機器メーカーを飛び出してベンチャー企業に参加したことをキッカケに、大学との関係が再び生まれました。開発リソースが乏しいベンチャー企業では、大学の研究者の知識を活用することが必須です。さらに、即戦力のある新卒学生をかき集める必要がありました。全国の半導体回路系の大学研究室を訪問し、実施したインターンシップや共同開発をキッカケに、大学との関係は自然に濃くなっていきました。

産学連携ベンチャーの良い点は、学生と相互作用があることだろうね。ビジネスサイドには仕事を手伝ってもらえるリソースが手近にある利点があり、学生サイドにはプロの仕事や技術開発に刺激を受けることができるという利点がある。ただし、お互いがママゴトにならないように真剣に取り組むことが前提だ!


 小生が出身研究室を訪問した時にもらった、既に亡くなった指導教授の言葉は今でも忘れられません。曰く、「大学は卒業してから使うものなんだよ」とのこと。それまで疎遠にしていた自分の心を射抜かれたと思いました。「何も遠慮することはない、大学を軸に人脈を広げてビジネスチャンスをつかむことだよ」。思い返せば、その言葉をもらった日をキッカケに、小生が産学連携ベンチャーを立ち上げる道が開けたのではないかと感じています。

 産学連携のハイテクベンチャーを自ら起業して早くも5年になりました。小生なりに見えてきた、産学連携ベンチャーを成功に導くために必要なポイントを3つ挙げます。

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