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有機EL長寿命化の鍵となるか、NHKが赤色発光材料を開発材料技術 有機EL

NHKは、新しい材料を組み合わせることにより、従来に比べて消費電力が1/3、寿命が7倍の赤色発光有機EL素子を開発した。

» 2012年09月04日 18時59分 公開
[村尾麻悠子,EE Times Japan]

 NHKは2012年9月、従来に比べて低消費電力かつ長寿命の赤色発光有機EL素子を開発したと発表した。30.3lm/W(ルーメン/ワット)の最大電力効率と、1万5000時間の連続駆動寿命を実現しているという。

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 図1は、有機EL素子の一般的な構造である。光を発する発光層は、発光材料とホスト材料とで構成されている。これまで一般的には、発光材料にはイリジウム錯体が、ホスト材料にはカルバゾール誘導体を用いた材料が使用されてきた。

photo 図1 有機EL素子の構造(出典:NHK)

 今回、NHKは、上記に代わる新しい材料を組み合わせたことで、低消費電力で長寿命の赤色発光有機EL素子を開発したという。具体的には、発光材料に白金錯体を、ホスト材料にベンゾキノリン誘導体を用いた材料を使用した(図2)。従来の材料を用いた赤色発光有機EL素子に比べ、最大電力効率は約3.5倍、寿命は約7倍になるという。

photo 図2 ホスト材料の分子構造(出典:NHK)
デバイス 発光材料 ホスト材料 最大電力効率(lm/W) 連続駆動寿命(時間)
新デバイス 白金錯体 ベンゾキノリン誘導体を用いた材料 30.3 1万5000
従来デバイス イリジウム錯体 カルバゾール誘導体を用いた材料 8.5 2200
表1 従来デバイスとの比較

 今後は、赤色だけでなく、緑色と青色発光の有機EL素子も試作する予定だという。

 NHKは、“いつでもどこでも楽しめる放送サービス”を目指して、フレキシブルな有機ELディスプレイの研究開発を進めている。

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