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» 2012年10月18日 11時14分 UPDATE

ビジネスニュース オピニオン:テレビ業界に新たな脅威、挿し込むだけでテレビを“スマート化”するスティック (1/2)

薄型テレビに挿し込むだけで、そのテレビを“スマートテレビ化”することができる――。そんなスティック型の製品が登場している。テレビに新しい機能を安価に追加できるという手軽さがある反面、テレビメーカーに深刻な影響を与える可能性も否定できない。

[Junko Yoshida,EE Times]

 最近、HDMIやUSBに対応する、サムドライブのようなスティック型の製品が次々に登場している。通常の薄型テレビに挿し込むと、そのテレビにストリーミングやスマートテレビのような機能を付加できるものだ。筆者は、このような製品が開発されたことに驚きを覚えた。こうした製品は新しく登場したばかりだが、中国のファブレス半導体企業の間で最近、注目を集めている。

 マルチメディアプロセッサの設計を手掛ける中国の半導体企業の多くは既に、スティック型のストリーミングデバイス市場への参入に向けて、同デバイスの製造メーカーを確保しているという。筆者は、中国深センのApexoneが設計した「MuPad」と呼ばれるUSBベースのスティック型デバイスを目にしたことがある。また、北京に拠点を置くアプリケーションプロセッサメーカーであるNufrontは、HDMIベースのスティックを開発しているという。

mm121018_stick_fig1.jpg NufrontのHDMI対応スティック型ストリーミングデバイス

 読者の皆さんは、ストリーミングデバイスを手掛ける米国のRokuの「Streaming Stick」について聞いたことがあるかもしれない。Rokuは、Streaming Stickを、2012年1月10〜13日に開催された「2012 International CES」で初披露した。そして2012年10月、同製品を99米ドルで発売することをついに発表した。Rokuのアーキテクチャに対応したテレビのMHL(Mobile High-definition Link)ポートにStreaming Stickを差し込めば、HDTV(高精細テレビ)にストリーミング機能を付加できる。PCや、スタンドアロン型のSTB(セットトップボックス)とケーブルは必要ない。

 筆者が知る限り、Rokuは、米国でスティック型ストリーミングデバイスを提供する唯一の企業である。大手家電メーカーがこのような製品の開発を検討したという話は、一切聞いたことがない。

 だが、Samsung Electronicsやパナソニック、ソニー、シャープが、なぜこうした製品を発売しようとしなかったのかは、考えてみればすぐに分かる。これらのメーカーにとっては、99米ドルのスティック型ストリーミングデバイスを挿し込んで、今持っているテレビを“スマートテレビ化”するよりも、600米ドルの新しい40インチ型スマートテレビを購入してもらった方が、断然良いからだ。

“まだ存在しない”市場

 米国の市場調査会社であるIHS iSuppliでシニア主席アナリストを務めるJordan Selburn氏は「現時点では、この市場は存在しないも同然だ」と述べている。iSuppliはこれまで、同市場の予測を発表しようとさえしていない。

 だが、筆者が過去数カ月にわたって中国を取材した印象では、同市場は“存在しないも同然”ではない。ただし、西欧諸国には、スティック型ストリーミングデバイスの市場がまだ存在しないのは確かだ。

 もちろん、Selburn氏もこの製品カテゴリーを完全に否定しているわけではない。同氏は、「スティック型ストリーミングデバイスが人気を得ると予想するに足る理由は十分にある。この製品カテゴリーが“OTT(Over the Top)市場”で主流になったとしても、驚きはしない」と述べている。

 同氏は、OTTを「インターネットコンテンツにアクセスするために使うボックス」と定義して、セットトップボックス(STB)と区別している。一方、STBは、サービスオペレータが提供する、デジタルテレビ視聴用の有料のセットトップボックスである。

 Selburn氏は、「スティック型ストリーミングデバイスは、OTTボックスとして機能するようになる」としながらも、「同市場は、まだ非常に規模が小さい」と指摘している。同氏は、「2012年のOTTボックスの出荷台数は、Western Digitalのホームメディアストリーミング向けのSTBのような製品を含めても、約1200万台にとどまる」予想する。

 同氏は、スティック型ストリーミングデバイス市場は、2016年に年間の出荷数量が2000万台に達すると予測している。筆者にはこれはかなり控えめな数字に思えるが、Selburn氏は、「メディアボックスの多くにはHDDが搭載されているため、OTTボックスが全てスティック型に置き換えられることはないだろう」と説明している。

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