調査リポート
» 2012年11月09日 16時22分 UPDATE

製品解剖:Appleの「iPad mini」を分解、A5プロセッサは32nmのHKMG技術で製造 (1/2)

Appleが投入した7.9インチディスプレイのタブレット端末「iPad mini」を分解した。メインプロセッサはデュアルコア構成の「A5」。ゲートファースト方式の高誘電率/金属ゲート(HKMG)技術を適用した32nm世代の半導体プロセスを使ってSamsung Electronicsが製造している。本稿では、そのダイ写真も公開する。

[Allan Yogasingam,UBM TechInsights]
TD_iPadmini_120.jpg

 Appleがタブレット端末「iPad」の第1世代機を2010年4月に発売してから、約2年半になる。それ以降、今に至るまで、同社はタブレット市場で圧倒的なシェアを握り続けてきた。特に、iPadで消費者が親しんだ9.7インチのディスプレイサイズやそれに近いサイズの10.1インチをあえて模倣するという戦略に打って出た競合他社の製品については、すべて撃退してきた。

 2012年10月23日の時点で、AppleはiPadシリーズの製品を1億台以上販売したという。これは、2012年に出荷されたタブレットの総数の62.5%以上に相当する。

7インチで新たな対抗勢力が誕生

 ところがAppleのこの圧倒的優位を脅かす新たな勢力は、サイズが9.7インチ以上の市場ではなく、意外にも同社がこれまで手掛けてこなかった7インチサイズの市場で生まれた。

 今からおよそ1年前、Amazonは同社初となるタブレット端末「Kindle Fire」を200米ドル以下という価格で売り出し、業界に衝撃を与えた。iPadよりも小型の7インチモデルだ。当時、オンライン書店である同社がエレクトロニクス分野に進出することについて、懐疑的な見方が多かったのは確かである。しかしその一方で、同社の動きを“新機軸”と見る向きもあった。Amazonは、自社が抱えるオンライン書籍販売向けの膨大なライブラリを意のままに組み合わせることで、これまでAppleが競合他社に対して圧倒的な優位性を誇ってきたコンテンツという領域で、対等の立場になれる可能性があるからだ。

 Kindle Fireは、発売後の数カ月間で販売台数が600万台を超えたとみられている。そうした中、また新たにシリコンバレーの強力なプレイヤーが世間の注目を集めた。検索エンジン最大手のGoogleだ。それまでのエレクトロニクス関連製品やサービスの発売で培った経験を生かして、自社ブランドの7インチ型タブレット端末「Nexus 7」を市場に投入したのである。販売価格はKindle Fireと同様に200米ドル以下に設定されており、クアッドコアプロセッサやハイグレードなディスプレイといった、その価格帯では考えられないような優れた仕様を採用していた。

 Kindle FireとNexus 7の2機種に加えて、Amazonが2012年9月に発表した上位機種の「Kindle Fire HD」も消費者の注目を集めており、これら2社の製品はともに販売数量が競合であるAppleに近い規模で売れている。Nexus 7の販売台数は、2012年内に800万台に到達する見込みだ。

手にして感じるのは「薄い、軽い」

Appleの「iPad mini」 Appleの「iPad mini」

 7インチモデルの市場が幾何級数的に拡大する中、Appleが同市場に参入するのは時間の問題だったといえる。かつて、Appleで当時CEOを務めていた故Steve Jobs氏が7インチモデルについて「スマートフォンに対抗するには大き過ぎるし、iPadに対抗するには小さ過ぎる」と述べたにもかかわらず、現CEOのTim Cook氏が2012年10月23日に発表した新型モデルは、7.9インチディスプレイを備えた「iPad mini」だった。「iPad 2」にも採用したApple独自設計のデュアルコアプロセッサ「A5」を搭載した他、Wi-Fi接続機能を備えており、さらにLTE対応モデルも用意している。

 AppleがiPad miniで7インチよりも大きい7.9インチを選択した理由は、7インチの競合他社機と比べて画面サイズを25%広くとることができ、iPad miniが搭載するOS「iOS 6」でのユーザー体験を高められると考えたからだという。

 当社(UBM TechInsights)がiPad miniを手にしてまず感じたのは、その薄さと軽さだった。iPad miniは重さが約308g、厚さが7.2mmで、当社が分解した7インチ台のタブレット端末中で最も軽く、薄い。もう1つ注目すべき特長は、7.9インチディスプレイの画素数である。1024×768画素で、解像度は163ppi(pixels per square inch)になる。Appleのスマートフォン「iPhone」の最近の機種やiPadの第3世代機に搭載されている「Retinaディスプレイ」(解像度は264ppi)の精細度には及ばないものの、iPadやiPad 2の9.7インチディスプレイと同等以上の画素数である。

       1|2 次のページへ

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSフィード

All material on this site Copyright © 2005 - 2017 ITmedia Inc. All rights reserved.
This site contains articles under license from UBM Electronics, a division of United Business Media LLC.