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» 2012年11月12日 09時00分 UPDATE

「英語に愛されないエンジニア」のための新行動論(10):プレゼンテーション資料はラブレターである (1/5)

「プレゼンテーションとは求愛行動である。ゆえに、プレゼン資料とはラブレターである」――。これが、私がプレゼン資料についてたどり着いた結論です。ロンドンのオフィスで印刷トラブルに見舞われ、苦肉の策として作成した手書きのプレゼン資料は、予想に反して大好評でした。その勝因はどこにあったのか。今回は、実践編(資料作成)の前半です。“英語に愛されないエンジニア”のプレゼン資料のTo Be像についてお話します。

[江端智一,EE Times Japan]

 われわれエンジニアは、エンジニアである以上、どのような形であれ、いずれ国外に追い出される……。いかに立ち向かうか?→「『英語に愛されないエンジニア』」のための新行動論連載一覧

 ロンドンオフィスから見た初冬の空は、雲に手が届きそうなくらいとても低かったのを覚えています。

 2011年の冬、私はロンドンオフィスで、プリンタの設定と格闘していました。日本で用意してきた膨大な英語のプレゼンテーション資料が、なぜか1枚も印刷できないのです。PC画面には「印刷完了」の表示が出ているにもかかわらず。オフィスのメンバーにメール経由でファイルを渡して印刷を頼んでも、全く同じ状態になります。こんな印刷トラブルはいまだかつて体験したことがありませんでした。

 私は、『プリンタが不調で、結局、何もできませんでした。アッハッハッ』などという報告が許されるような年齢ではないのです。むしろ、そういうふざけた報告をしてくる若手研究員を「どやしつける」立場にいるのです。ロンドンのオフィスで、私は一人、全身の血の気が引いていくのを感じていました。

―― 英語に愛されないエンジニアは、英語に関する全てのツキに見放される運命にあるのだろうか―― と。


 こんにちは。江端智一です。今回から資料作成編に入ります。

 ひと口に資料といっても、そりゃもう、めちゃくちゃな種類があります。プレゼンテーション資料に機能要求仕様書、設計仕様書、テスト仕様書、製品仕様書、後は論文、特許明細書も含まれると思います。これをまとめて説明するのは難しいです。

 そこで今回は、前半をプレゼンテーション資料、後半をそれ以外の資料と、2回に分けて説明したいと思います。

プレゼンとは、求愛行動である

mm121112_ese10_fig00a.jpg 写真はイメージです

 そもそも「プレゼンテーション(presentation)」とは、紹介、披露、発表、提示などの意味がありますが、「孔雀(くじゃく)のプレゼンテーション(peacock presentation)」というように、「求愛行動」という意味として使われることがあります。今、ざっくり調べただけでも、サル、クジャク、ハト、カメ、ホタル、チョウに至るまで、生きとし生けるもの全てが「求愛行動」のプレゼンテーションを行っております。つまるところ「プレゼンテーション」とは、「私とペアになって下さい」というラブコールなのです。

 ということは、「プレゼンテーション」とは単なる発表や提示では足りず、相手に対し、パートナーになる申し出をして、その交換条件として、相手に対して何かのメリットを提示するものでなければならないわけです。

 さて、ここで問題が生じます。「英語に愛されないエンジニア」であるわれわれにとっては、「ラブコール」以前に、そもそもまっとうな英文を作成できるのか、という問題です。

 もちろん、アルファベットが書ければ英文にはなるでしょう。ですが、仮に書けたとしても、それが意味の通じるものになるか分からないし、意味が通じたとしても「ラブコール」となり得るかは、正直疑問です。

 結論から申し上げましょう。この問題を解決する手段はあります。

 要するに、英語を使ったラブコール、つまり英語を使ったプレゼンテーションを行うという発想自体が間違っているのです。われわれは今こそ、サル、クジャク、ハト、カメ、その他の生きとし生ける全ての生命に教えを乞うべきなのです。彼らは「英語」など使っていません。というか、そもそも「言語」という面倒くさい通信手段を使っていないのです。われわれもこれに学べば良いのです。

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