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英語の文書作成は「コピペ」で構わない「英語に愛されないエンジニア」のための新行動論(11)(3/6 ページ)

» 2012年12月10日 09時00分 公開
[江端智一EE Times Japan]

最初から「完璧」は目指さない

 さて、ここで、2つ目の「最初から完璧を目指すことはやめましょう」ということについて、少々お話したいと思います。

 文章の作成方法は、人それぞれのやり方があるとは思います。しかし、「英語に愛されないエンジニア」が英語の文章を作成するケースにおいては、絶対に守っていただきたい1つの原則があります。

 それは、いいかげんで、でたらめで、中途半端で、不完全で、不満足なものであったとしても、必ず最後のページまで書き切るということです。

 なぜ、このような原則が必要になるのか。

 そのように決めておかないと、私たちは英語の文章の作成をいつまでたっても完了することができないからです。文章を作成している最中に、「この表現は正しいのか」「この文章で意味が通るのか」という心配は尽きないと思います。しかし、そのようなことを心配するあまり、ある部分で立ち止まって何度も文章を推敲するのは愚の骨頂、時間の浪費です。

 だいたいですね、心配したからといって、私たちの英語の文章が「正しく」「意味の通る」ものに変化するわけでもありません。

 では、最後のページまで書き切る意義は何か。

 一番大切なことは、「ああ、終わった〜!」と思えることです。最悪の英文による最低の品質の文章であれ、とりあえず上司に提出できるものが手元にあるという安心感は、私たちをとても楽にします。

 その他、ページ数が分かりますし、文章のバランス(量や質、図の過不足)を俯瞰(ふかん)でき、統一されていない単語や用語も見えてきます。するとですね、修正してみようかなという気になってきます。いわゆる締め切りという攻撃に対する専守防衛的な英文作成から、橋頭堡(きょうとうほ)を確保した上での先制攻撃的な英文作成へシフトする、つまり文章レビューが可能な心理状態になるのです。

 これによって精神的にリラックスできるだけでなく、英文の品質を向上させる気力も湧きます。

 さて、レビューの回数は人それぞれですが、私の場合は大体「3〜5クール」くらいでしょうか。この回数以上のレビューを繰り返しても、品質が良くなる感じがしないからです。つまり、私の英語文章の作成能力の「天井」に至ってしまうということです。

[ステップ7]作成した英語の文章の検証

写真はイメージです

 厳密な意味において、日本人が、外国人が読むマニュアルを作るのは無理です。もちろん、正しい英語を使っている以上意味は通るでしょうが、ニュアンスの違いによる不自然さだけはどうにもなりません。

 このような場合には、ネイティブの同僚にお願いするか、少々お値段は張りますが、そのようなチェックを専門に請け負っている会社に外注するのがよいでしょう。

 それなら「最初から翻訳を外注として依頼すればよい」とも考えられますが、この場合、コストが高くなるだけでなく、「こちらが意図した内容(特に、セールスポイントとなる新開発技術など)が正確に反映されない」というリスクも発生することになります。

 ヘンテコな英語であっても、自分が強調したい部分は「伝わるもの」なのです。その気持ちを正確に伝えるためにも、ベースとなる部分は「コピペ」で手を抜かせてもらって、本当に伝えたいことの英文作成に注力すべきです。

英文作成、3つのポイントはこれだ

 さて、今回は、「英語に愛されないエンジニア」の英文作成の方法について説明しました。今回の内容をまとめてみたいと思います。

1)誰か他の人が作ってくれた英語の文章をコピペしよう
2)何はともあれ、必ず最後のページまで書き切ろう
3)その後、修正を何度も繰り返しながら、自分の英語の文章を完成させよう

 このように、たった3行で説明できました。「英語文書の作成方法の説明」など簡単です。「英文文書の作成」自体は、地獄ですけどね。英文の作成については、これまでの連載で説明したように各種のツール(Google翻訳など)、あるいは英文資料を使い倒してみてください。

 さて、今回の場合、上記(2)の「何はともあれ、必ず最後のページまで書き切ろう」が一番大変で、辛く厳しい内容であると思っております。

 私は、これに対する最終兵器、リーサルウェポンとして「神を憑依(ひょうい)させる」という奥義を持っております。実は、初稿では、この「神降ろし」の儀式は本編に記載していたのですが、全ての人間が使える手段ではないという理由から、EE Times Japan編集部の命令で付録に回されてしまいました(編集担当注*1):だって仕方ないじゃないですか)。詳しく知りたい方は付録1をお読みください。

*1)本物の編集担当注:断腸の思いで付録に回しました。


 次回からは、ようやくデスクワークを離れて、海外出張準備編、および出国・入国、ホテルチェックイン編に入ります。

 それではみなさん、ごきげんよう。

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