コラム
» 2013年01月21日 16時56分 UPDATE

無線通信技術:スマホでPC画面を映すだけ、富士通研のファイル転送技術

富士通研究所は、スマートフォンやタブレット端末をPCの画面にかざすだけで、画面上に表示されているファイルがタブレット端末に転送される技術を開発した。「商用化はこれから」だとする同社だが、ビジネスシーンや私生活など、数多くの用途を想定している。

[村尾麻悠子,EE Times Japan]

 メールにファイルを添付して送信、あるいはUSBメモリスティックなどを使った受け渡し……。富士通研究所が発表した新しい技術によって、ファイルを送信する際のこのような面倒な作業が必要なくなるかもしれない。

 富士通研究所は2013年1月21日、スマートフォンやタブレット端末をPCの画面にかざすだけでファイルを転送できる技術を発表、デモンストレーションを行った。

 例えば、PCの画面に会議のプレゼンテーション資料(PDFなど)を表示しておく。専用のカメラアプリを立ち上げたタブレットでその資料を映す(かざすだけで、シャッターを切る必要はない)と、資料がPCからタブレットに転送され、タブレットでも閲覧できるようになる。また、スマートフォンやタブレットでPCの画面を映すと、スマートフォンやタブレットで撮影した画像などをそのPCに転送することも可能だ。会議中に、プロジェクタでスクリーンに投影されているプレゼン資料をダウンロードしたり、携帯端末で撮影した写真をPCに転送したりといった利用を想定している。

mm130121_fujitsu_fig1.jpgmm130121_fujitsu_fig2.jpg デモの様子。スクリーンに映し出された資料をタブレットで映す(左)と、その資料がタブレットに転送される(右)。

 ファイルを転送する技術には、富士通研究所が2012年6月に発表した「映像媒介通信技術」を利用している。同技術は、人間の目では確認できないほどの微小な明かりを数多く映像中にちりばめておくというもの。その明かりの数を増減させることで、画面全体の明るさを変化させ、「比較的明るい状態」と「比較的暗い状態」を作り出す。この2パターンを「0」か「1」に当てはめ、情報を復元する*1)

*1)映像媒介通信技術は、2012年10月に開催された「CEATEC JAPAN 2012」で披露されている(関連記事:テレビをスマホで撮るとクーポンが届く、映像を媒体に使う富士通の通信技術)。

 ファイル転送の仕組みは次の通りだ。まず、PCには専用サーバソフトを、スマートフォンやタブレットといった携帯端末には専用のカメラアプリをインストールする。PCに専用ソフトをインストールすると、PCの画面には、映像媒介通信技術を利用して、IP(Internet Protocol)アドレスを微小な明かりに変換したものがちりばめられる。また、PCの画面に表示されているファイルを監視する機能が働くようになる。

mm130121_fujitsu_fig3.jpg IPアドレスを微小な明かりに変換したものが、PCの画面にちりばめられている。 出典:富士通研究所(クリックで拡大)

 携帯端末でそのPC画面を映すと、携帯端末は、映した画像にちりばめられた明かりから、PCのIPアドレスを検出する。携帯端末が、そのIPアドレスを持つPCにWi-Fiなどのネットワーク経由でアクセスすると、PCからのファイル転送が始まる。

mm130121_fujitsu_fig4.jpg PCから携帯端末にファイルを転送する仕組み 出典:富士通研究所(クリックで拡大)

 デモ用に試作したタブレットはAndroidに対応しているが、今後はiOSにも対応していく予定だとしている。

 なお、今回のデモでは、PCの画面(プロジェクタで映したスクリーンの画面)に表示されているPDFの資料を転送したが、アプリの作り方によっては、例えば、画面には表示されていなくても、開けているファイル(タスクバーに並んでいるファイル)を全て読み取り、必要なものだけを選択して転送を開始する、といったことも可能だという。

従来技術の課題を解決する、ファイル転送手段

 ファイルを転送する方法には、Wi-Fiやクラウドサービスを利用するなど、下記のようにいくつか種類があるが、それぞれ欠点や課題がある。富士通研究所は、「今回開発した技術は、これらの課題を解決し、直感的にかつ簡単にファイルを転送できるものである」と述べている。

mm130121_fujitsu_fig5.jpg 主要な転送技術には、それぞれ欠点や課題がある。 出典:富士通研究所(クリックして拡大)

 富士通研究所は、このファイル転送技術について2014年度中の実用化を目指すが、アプリも同社が開発するのか、それとも顧客が開発するのかなど、ビジネスに向けた詳細はこれから決めていくという。

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