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Cortex-A7/A8と同等レベルのAndroid向けプロセッサコア、ロイヤリティフリーで登場プロセッサ/マイコン

Beyond Semiconductorは、ロイヤリティフリーの32ビットプロセッサコア「BA25」を発表した。Linux/Androidアプリケーション向けとして位置付けられるもので、初期費用のみ支払えば、あとはロイヤルティフリーで利用できる。

» 2013年02月06日 11時01分 公開
[Peter Clarke,EE Times]

 プロセッサIP(Intellectual Property)のライセンス事業を手掛けるスロベニアのBeyond Semiconductorは、ロイヤリティフリーの32ビットプロセッサコア「BA25」を発表した。既存のRISCプロセッサコア「BA22」と比べて、性能が大幅に向上しているという。

 Beyond Semiconductorは、BA25をLinux/Androidアプリケーションに向けたコアとして位置付けている。また、同社は「BA25はARMの『Cortex-A7』、『Cortex-A8』と同等レベルのプロセッサだ」と説明している。オプションで浮動小数点演算ユニットを搭載することも可能だという。

 加えて、Beyond Semiconductorは、「BA25は、ARMをはじめとする競合他社のプロセッサと比べ、さまざまな性能項目で優れている。また、動作周波数がGHzレベルの各種アプリケーションプロセッサと比較しても、単位面積当たりの性能やコード密度が最も高い」と主張する。

 BA25のライセンス形態は、初期費用のみ支払えば、あとはロイヤルティフリーで利用できるというものである。同社のライセンシー(ライセンス利用者)としては、STMicroelectronicsやEricsson、Lattice Semiconductor、OmniVisionなどの名前が挙がっている。

 BA25の性能は、TSMCの65nmプロセス技術で製造したチップによって実証されている。800MHz以上のクロック周波数で動作させることができ、1360DMIPSの性能(1.7DMIPS/MHz)が得られる。また、アウトオブオーダー完了(Out of Order Completion)をサポートし、高度な分岐予測機能を備える。さらに、7段のパイプラインアーキテクチャや、2階層キャッシュ(オプション)、メモリ管理機能などを搭載しているため、LinuxやAndroidなどの汎用OSを採用するシステムのメインプロセッサとして最適だという。

 Beyond SemiconductorのCEO(最高経営責任者)を務めるMatjaz Breskvar氏は、発表資料の中で、「BA25は、これまでにない優れたコストパフォーマンスを実現している。設計者にとっては、Linux/Androidをベースとした膨大なソフトウェアのエコシステムを活用できる可能性が広がることになる。ソフトウェア開発のコストを削減できるだけでなく、消費者に対して優れたユーザーエクスペリエンスを提供することも可能だ」と述べている。

 Beyond Semiconductorは、2005年に創設された。同社の共同創設者であるDamjan Lampret氏は、かつて、オープンソースハードウエアのコミュニティであるOpenCoresを設立し、32ビットプロセッサのアーキテクチャ「OpenRISC」の開発を主導した人物である。Beyond Semiconductorは、OpenRISCのアーキテクチャを改良した「BA1」をベースとして、「BA12」、「BA14」の各コアを開発した。また、「BA2」の命令セットは、BA1の命令セットに改良を加えたものである。BA2は比較的シンプルでコンパクトなものであり、システムにおける占有面積を抑え、エネルギー効率を高めることができる。また、C/C++のツールチェーンや、オープンソースの統合開発環境(IDE)「Eclipse」、アーキテクチャシミュレータ、BA2向けに移植したC言語のライブラリ/OS/リアルタイムOSなどを利用できるため、プログラミングも容易だ。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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