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14nmプロセスの立ち上げで、デッドヒートを続けるSamsungとGFプロセス技術(2/2 ページ)

» 2013年02月13日 12時36分 公開
[Rick Merritt,EE Times]
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EUVリソグラフィの実用化は、まだ遠い

 IBM、Samsung、GLOBALFOUNDRIESの3社は、「EUVリソグラフィ技術の実用化は、7nm世代以降になる見通しだ」としている。またIBMの上級技術者は、「EUVリソグラフィは半導体製造の将来を担う重要な技術だが、その実現にはさまざまな面で物理学的な進展が必要になる」と述べている。GLOBALFOUNDRIESの販売部門でマーケティング担当バイスプレジデントを務めるMike Noonen氏は、「現在、われわれは、史上最も複雑な事業に取り組んでいる」と語っている。

 IBMの半導体グループを率いるMike Cadigan氏は、「2012年末までに、最新のEUVリソグラフィ装置の試作機を備える新たな施設が必要だ」として、ニューヨーク州当局に対し、施設の建設を申請した。すでにこの施設の建設は終わったが、試作機の完成は2013年4月以降になる見通しだという。

 Cadigan氏は、「半導体業界における2012年の投資傾向を見ても、EUVリソグラフィ技術の実現が求められていることは間違いない。しかし、同技術の実用化までの道のりは未知数だ。現時点では、EUVリソグラフィ技術の実現は不可能に近いと考える人もいるかもしれないが、業界はこの技術を必要としているのだ」と語る。

 IBMの半導体グループの主席技術者であるGary Patton氏は、「研究活動を進めた結果、EUVリソグラフィ用のレーザー光源の能力を従来の10倍となる30Wに高めることができた。しかし、EUVリソグラフィ技術を実用化するには、さらにその10倍近い250Wを実現する必要がある」と述べている。

 その他に、レジストやフォトマスクの欠陥の問題の解決、検査工程の軽減を図る必要もある。これらについて、Patton氏は「カリフォルニア州の10分の1に相当する広大な土地で、ゴルフボールを探すくらい難しいことだ」と語っている。

 Patton氏は、「EUVリソグラフィでは、150マイル/時(時速241km)の速度で垂らした溶融スズにCO2レーザーを照射してプラズマを生成する。その上で、プラズマから放出されるデブリを除去し、光を集めて6枚の鏡で前後に反射させる。今後は、こうした物理学的な課題を解決していかなければならない」と説明している。

液浸リソグラフィ技術

 Patton氏は、「ダブルパターニングについてはいくつかの進歩が見られた。14nm/10nmの世代では、液浸リソグラフィ技術において、少なくともトリプルパターニングやクアッドパターニングの必要性は低減できる見通しだ。これらの技術は、7nmプロセスにも適用することができると思われる」とも述べている。

 Cadigan氏とNoonen氏は、「現在STMicroelectronicsが提唱する完全空乏型SOI(FD-SOI:Fully Depleted Silicon-on-Insulator)技術を利用するという手もある」と述べる。GLOBALFOUNDRIESは2014年6月までに、FD-SOIの量産を開始することを目標にしている。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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