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Ericsson、MWC 2013でLTE-Advancedのデモを予定無線通信技術

Ericssonは、「MWC 2013」において、LTE-Advancedを前面に押し出したデモを披露する。また同社は、OpenFlowを含めて、クラウド/仮想化やSDNをサポートする計画についても発表する予定だ。

» 2013年02月20日 10時56分 公開
[Rick Merritt,EE Times]

 スウェーデンのEricssonは、スペインのバルセロナで開催される「Mobile World Congress(MWC) 2013」(2013年2月25〜28日)において、4G規格のLTE-Advancedを前面に押し出したデモを披露する予定だ。それらのデモには、Gビット/秒(Gbps)レベルのデータ伝送を実現する8×8 MIMO(Multiple Input Multiple Output)対応のアンテナの試作品も含まれる。また、同社はMWC 2013において、次世代ネットワーク制御技術のOpenFlowを含めて、クラウド/仮想化やSDN(Software-Defined Network)をサポートする計画についても発表する予定だ。

 一部の無線通信事業者は、2013年にキャリアアグリゲーション機能を手始めとしてLTE-Advanced Release 10(以下、R10)の要素を導入している。この機能により、複数の非隣接周波数帯をリンクさせ、広帯域のデータチャンネルを得ることが可能になる。

 Ericssonは、MWC 2013で、このキャリアアグリゲーション機能を備えた携帯電話機を使ってデモを行う予定だ。この携帯電話機はQualcomm製のチップを搭載しており、最高データ転送速度は20MHz帯域幅を使った場合で150Mビット/秒に達する。2013年は、キャリアアグリゲーション機能を備えた基地局と端末の両方を初めて出荷できる年となる。

 また、Ericssonは、LTEと、中国で使われる派生規格TD-LTEとの相互運用性を示すデモも行う予定だ。このデモでは、中国の移動体通信事業者であるChina Mobile、半導体メーカーのST-Ericsson、ルネサス モバイルとの協力により、2つのシステム間でLTEを利用した音声通信を行うという。さらに、Ericssonは、China Mobileならびに半導体設計を手掛ける米Altairと協力して、データのハンドオーバーを実現するデモも披露する予定だ。

 これらのデモとは別に、Ericssonは、8×8 MIMOに対応したアンテナの試作品も展示する。このアンテナは、試作段階にあるR10ネットワーク上で、携帯電話機の最大データ転送速度としてGbpsレベルを達成するように開発されたものだ。

 一方、Ericssonは2種類の4×4アンテナシステムも展示する予定である。それらのうち「Air 32」は2つの無線信号を受信し、「Air 21」は1つの無線信号を受信する。なお、Air 21は、移動体通信サービスを手掛けるドイツのT-Mobileが、既に米国のR10ネットワーク向けに導入している。

 T-Mobile USAのCTO(最高技術責任者)を務めるNeville Ray氏は、報道発表資料の中で、「Air 21は、LTEなどのモバイルブロードバンドサービスを迅速に市場に投入する方法を提供する。Air 21を使用することにより、配備にかかる時間を1拠点当たりで数カ月短縮できるほか、無線性能が大幅に向上するというメリットを得ることができる」と述べた。

 Ericssonは、競合企業であるCisco Systemsと同様に、SDN向けにハイブリッドのアプローチを取り入れている。SDNは、通常は低レベルのソフトウェアとASICによって行われる実装を抽象化することで、ネットワークの配備と管理の容易化を目指すという構想である。

 基地局大手であるEricssonは、クラウドコンピューティングシステム、Linuxベースの仮想化技術、OpenFlowを含むソフトウェアパッケージを2014年に提供する計画について、MWC 2013で協議する予定だ。いずれにせよ、Ericssonは、依然として同社独自のネットワーク向けASICやソフトウェアを進化させるための取り組みに専念している状況にある。

【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】

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