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» 2013年02月28日 07時30分 UPDATE

パワー半導体:新日本無線がSJ-MOSFETを量産へ、デンソーの技術でオン抵抗を半減

新日本無線は、デンソーからライセンス供与を受け、スーパージャンクション構造を持つパワーMOSFET(SJ-MOSFET)を量産する。従来工法のSJ-MOSFETと比べて、単位面積当たりのオン抵抗を半減したことが特徴である。

[馬本隆綱,EE Times Japan]
「トレンチ埋め込みエピタキシャル技術」を用いたSJ-MOSFET

 新日本無線は2013年2月27日、デンソーから、スーパージャンクション構造を持つパワーMOSFET(SJ-MOSFET)に関する特許の使用権と製造プロセス技術などについてライセンス供与を受けることで合意したと発表した。新日本無線は、デンソーの技術によってオン抵抗を大幅に低減した、耐圧600V/電流容量20AのSJ-MOSFETを開発しており、2013年8月から量産を始める計画である。

 デンソーが開発したSJ-MOSFETは、「トレンチ埋め込みエピタキシャル技術」を用いて製造する。現在主流となっている「マルチエピタキシャル技術」と比べて、セルピッチを小さくできるのが特徴。SJ-MOSFETの単位面積当たりのオン抵抗を約半分に低減できる。

tm_130227jrc_denso_fig2.jpg パワーMOSFETの構造の比較。左から、二重拡散MOSFET(DMOSFET)、「マルチエピタキシャル技術」を用いたSJ-MOSFET、デンソーが開発した「トレンチ埋め込みエピタキシャル技術」を用いたSJ-MOSFETの順で並んでいる。(クリックで画像を拡大) 出典:新日本無線

 トレンチ埋め込みエピタキシャル技術を用いて新日本無線が試作した、耐圧600V/電流容量20AのSJ-MOSFETには、約4μmの径に対して深さ約50μmのトレンチ(溝)が形成されている。オン抵抗は190mΩと小さい。そのチップ面積は、従来のマルチエピタキシャル技術を用いて製造した同じオン抵抗を持つSJ-MOSFETと比べて、56%削減されている。また、同じチップ面積でSJ-MOSFETを製造する場合には、トレンチ埋め込みエピタキシャル技術を用いた方が大幅にオン抵抗を下げられるという。

 新日本無線は、デンソーからのライセンス供与を受けて、オン抵抗の最大値が190mΩで、耐圧600V/電流容量20AのSJ-MOSFETを量産する。当初の量産規模は月産1万個を予定しており、PC用電源やUPS(無停電電源)、太陽光発電システムのパワーコンディショナ、ACアダプタなどの用途に向ける。この他、耐圧は600Vと同じだが、電流容量が10Aや30Aの製品も用意していく計画である。

 新日本無線の執行役員で半導体販売事業部副事業部長を務める大友規夫氏は、「SJ-MOSFETの製造は、外部のファウンドリに委託する。このため、新たな設備投資は発生しない」と述べるとともに、「パワー半導体ビジネスで電源関連は強化していく分野の1つである。世界トップクラスの低オン抵抗を実現したSJ-MOSFETは、省エネ化の要求にも応えていくことができる」と語った。

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