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» 2013年05月07日 14時30分 UPDATE

ビジネスニュース 企業動向:通信事業者の競争力を向上、エリクソンのSDN対応SSR

エリクソンは、Software Defined Networking(SDN)で制御対象をデータセンターに限定せず、ネットワーク全体にまで拡張した「サービスプロバイダSDN(SP SDN)」を提唱している。2013年10〜12月にはSP SDNに対応する最初のSSR(Smart Services Router)を出荷する予定だ。

[馬本隆綱,EE Times Japan]
エリクソン・ジャパンでCTOを務める藤岡雅宣氏

 エリクソン・ジャパンは2013年4月、Software Defined Networking(SDN)に対するエリクソンの取り組みなどについて記者説明会を開催した。エリクソンは、SDNで制御対象をデータセンターに限定せず、ネットワーク全体にまで拡張した「サービスプロバイダ(SP)SDN」を提唱している。同社はSP SDNに対応する最初のSSR(Smart Services Router)を、2013年10〜12月より出荷開始する予定である。

 SDNとは、ソフトウェアによって仮想的なネットワークを構築する技術を指す。物理的に接続されたネットワーク上で、それとは別に仮想的なネットワークを構築すれば、目的に応じてネットワークの構成を比較的容易に変更できるようになる。このため、データのトラフィック量が増大しても、柔軟に対応しやすくなるという特徴がある。一般的にSDNはデータセンター内での対応とされてきたが、最近ではネットワーク全体にSDN技術を取り入れる動きが強まっている。エリクソンが提唱するSP SDNもその1つである。

tm_130426ericsson02.jpg エリクソン・ジャパンでCTOを務める藤岡雅宣氏

 エリクソン・ジャパンでCTO(最高技術責任者)を務める藤岡雅宣氏は、「SP SDNを導入することでネットワークとデータセンターの一体化や、リソースの有効活用などによるコスト削減が可能となり、通信事業者の競争力強化につながる」と話す。SP SDNは、新規のシステムやプロトコルと、既存システムの制御を統合することも容易である。また、ネットワークマネジメントにオープンソースのクラウド基盤ソフトウェア「OpenStack」を導入していく方針である。これによって、ネットワーク全体の仮想化を実現していく。同社は、2013年4月に開かれた「OpenStack Foundation」の理事会で、ゴールドメンバーに承認された。

tm_130426ericsson03.jpg 既存および新規プロトコルとシステム(クリックで拡大)、出典:エリクソン・ジャパン

 さらに藤岡氏は、同社が以前から提案してきたIMS(IP Multimedia Subsystem)とWebRTCの統合についても触れた。「IMSは一般化している。その枠組みを使ってWebアプリケーションを制御したり、課金システムの機能を利用したりできないか、いろいろと検討しているところだ」と述べた。

 藤岡氏は、SP SDNの使用事例として2つのケースを挙げた。「デジタルコンテンツなどのサービスフロー」と「Virtual Network System(VNS)」である。サービスフローでは、サービスする内容によって従来は導入する装置が決まっていた。これに対して、SDNを導入することで「CDN(Contents Delivery Network)」や「DPI(Deep Packet Inspection)」、「NAT(Network Address Translation)」といった機能を、アプリケーションやユーザーに合わせて柔軟に選ぶことができるようになる。また、VNSではネットワーク全体が1つのバーチャルルータのように機能する。これによって柔軟なルータを構築することができるという。

tm_130426ericsson04.jpgtm_130426ericsson05.jpg 左が「デジタルコンテンツなどのサービスフロー」を示したもの。右が「Virtual Network System(VNS)」の使用事例(クリックで拡大)、出典:エリクソン・ジャパン

 最近、通信業者などで検討されている「ハードウェアとソフトウェアの分離」についても現状を紹介した。2013年1月から「Network Function Virtualization(NFV) Initiative」の活動が始まった。NFV Initiative では、2014年後半をめどにハードウェアとソフトウェアの分離を行うための要件を定義し、業界に勧告する予定だ。20社を超える主要な通信事業者をはじめ、現時点で世界各国から105社の企業が参加しているという。

 藤岡氏によれば、「ファイアウォールやNATなど、従来はハードウェアとソフトウェアを一体で開発してきた装置についても、それぞれ分離して開発できるようにするのがNFVの狙いだ。システム導入時に最新のハードウェアを選択できる」など利点は多い。しかし、「ハードウェアとソフトウェアを分けて調達した場合、システムとしての信頼性や相互接続性、性能に対してだれが責任を持つのか(不透明な部分もあり)、課題も残されている」と指摘する。また、NFV Initiativeの指針は「OpenStack」や「3GPP(3rd Generation Partnership Project)」、「DMTF(Distributed Management Task Force)」といった標準化活動にも影響を与えそうだ、との見方を示した。

tm_130426ericsson06.jpgtm_130426ericsson07.jpg 左が「NFVの概要」、右が「エリクソンのNVFに対する考え方」を示したものである(クリックで拡大)、出典:エリクソン・ジャパン

 エリクソンはこれまで、必要な性能や信頼性を確保するために、サーバーやSSRなどの装置は目的別に機器の開発を行ってきた。最新のSSRは、ボードを増やすことで通信容量や機能を追加できる構成にするなど、かなり柔軟な設計となっている。さらに、2013年第4四半期には、OpenFlowコントローラを含むSP SDNに対応したSSRが、同社から出荷される予定である。

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